auじぶん銀行は2008年に設立したインターネット銀行です。オリコン顧客満足度®調査「ネット銀行」の総合評価は、2024年に初めての総合1位を獲得!2025年も引続き総合1位を獲得し、2年連続1位となりました。
しかし、2019年は最下位の6位。2020年5位、2021年6位から、2022年に3位、2023年には2位と毎年順位を上げてきました。
そこで今回は、1位獲得の立役者であるお2人に、最下位から総合1位獲得までの取り組みや、その裏側を聞きます。
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【1】最下位に転落
【2】会社を上げて “お客さま視点”の意識改革
【3】評価のカギを握った、「じぶんプラス」の大幅リニューアル
【4】念願の1位へ
【5】お客さまにとって一番便利な銀行に
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【1】最下位に転落
翌年に社名変更(2020年に現auじぶん銀行に社名変更)を控えた2019年、オリコン顧客満足度®調査でまさかの最下位。前年は3位だったところ急転直下。その理由を、清水さんはこう振り返ります。
清水さん:“お客さま”を意識したサービスの設計が十分でなかったと感じています。当時、スマートフォン完結型の機能面やAIを活用したサービス提供など、先進的な取組みには注力していた一方、「お客さまに求められているサービスは何か」という視点がやや置き去りになっていました。その結果が、如実に表れたのかと。当社が技術先行で進化を続けるなかで、お客さまの実感や期待とのギャップが生まれていたのだ思います。
真っ先に行われたのは、単にランキングや外部評価を上げる杓子定規的な施策ではなく、社員ひとりひとりに対する“お客さま視点”の醸成でした。即効性がなく一見遠回りに思える取組が、現在の基盤を作り総合1位への礎を築いたことになります。

▲左からインタビュアー、清水さん、黒多さん
【2】会社を上げて “お客さま視点”の意識改革
取組みは大きく3つ。1つ目は“普遍的な価値観”を社員全員で共有し、以降ブレることがないようにすること。2つ目は、社員全員が「お客さまの声」を聴き、ご要望を把握すること。3つ目はサービス改善の専門部署の立ち上げです。
この“普遍的な価値観”は、2019年の10月制定された「auじぶん銀行フィロソフィ」です。ここには社員が仕事をする上で、大切にすべき考え方・価値観が定められており、全5章35項目で構成され、目指す姿が定義されています。第1章に「お客さまのことを第一に考える」「お客さまに感動をとどける」があり、そのために何をするかが明確に記されています。
清水さん:社員全員が、同じ価値観を共有することで、目線を合わせることが出来るようになりました。定期的な勉強会が、現在でも開催されています。これによって、風化することなく、入社時期が違っても、足並みをそろえていくことが出来ています。
ネット銀行は基本的に店舗が無いため、お客さまと接点をもつのはコールセンターに務める一部の社員のみです。そこで、VOC(Voice Of Customer:お電話や問い合わせでいただいた生の声)が毎朝、全社員へ共有されるようになります。
黒多さん:お客さまから “どこで入金したらよいのか分からない” “魅力的な商品がほしい”といった実際のご意見を日々目にすることで、社員一人ひとりがお客さまのニーズを把握することが出来るようになりました。中には「そのようなことにお困りだったのか」と、予想外のご意見をいただくこともあり、その後のサービス改善はもちろん、WEBサイトの記載を分かりやすく変更するなどにも活かされています。
翌年の4月に「CX向上推進室(後に、CX企画推進部へ改称)」が新設。CX(カスタマーエクスペリエンス)、つまり顧客体験の更なる向上をミッションとした室です。
清水さん:まずは、オリコン顧客満足度®調査含め、お客さまに関する指標の評価を分析し、足りない要素を明確にすることから始めました。そこから、“お客さま視点でのサービス改善”を行っていったのです。
【3】評価のカギを握った、「じぶんプラス」の大幅リニューアル
銀行を選ぶ際に重視するポイントの上位にくるのが、“ATM利用手数料“と“振込手数料“の安さ。当社では、お客さまの前月のご利用状況に応じてステージを判定。そのステージに応じて、ATM利用手数料や振込手数料が一定回数無料になる「じぶんプラス」を提供しています。
黒多さん:当時は、無料回数0回のステージが存在し、その場合ATM入金の際にも手数料をいただいていました。「入金したら、手数料が取られた!」となっては、その後の利用意欲が落ちてしまいます。他行に劣後しているのは明らかで、何としても改善が必要でした。
清水さん:今まで有料としていたサービスを無料にするわけなので、当時で年間数億円の利益が失われる計算でした。会社としても大きな決断となりましたが、各々が違う方向を向いていては、とてもリリースに至らなかったと思います。全員が“お客さま目線”で「どうすべきか」の答えを導き出せたのは、auじぶん銀行フィロソフィがあったからだと思っています。

現在では、ステージ自体も5段階から、4段階に変更し簡略化。「レギュラー」ステージでも、ATM入出金ともに2回ずつ、振込も3回まで無料。最高ランクの「プレミアム」ではATM入金は無制限、ATM出金・振込は15回まで無料です。
黒多さん:「じぶんプラス」はそれだけではありません。給与受取口座の設定やキャッシュレス決済など、銀行取引でPontaポイントがたまります。同じ取引でも、レギュラーの方は1倍、プレミアムの方は15倍といった、ステージに応じてたまるポイントの倍率を変えていますので、ステージを上げていくワクワク感を感じてもらえればと思います。
スタンプカードのようなインターフェイスも、お客さまから好評を得ています。

▲じぶんプラスのアプリ画面
(じぶんプラスについて:https://www.jibunbank.co.jp/customer_stage/)
黒多さん:じぶんプラスは、「給与・賞与のお受取」「au PAY 残高へのチャージ」といった、取引の利用状況に応じてステージが上がる仕組みなので、ご自身の達成状況がひとめで分かるように、デザインをスタンプにしたんです。この時はどのようなデザインならお客さまに分かりやすいと感じてもらえるか、テスト画面を様々な部署の社員に見てもらい試行錯誤して決めました。
【4】念願の1位へ
「じぶんプラス」の改定以降、順位は2021年最下位の6位から2022年は3位へと一気に上昇。そして2024年にはとうとう初めての総合1位を獲得します。
清水さん:毎年、オリコンからランキングの結果報告会を実施いただいてますが、いつも「対面でもオンラインでも」とご案内いただいていました。でも、その年だけは「ぜひ対面で」とご連絡がありまして。「もしかして…」という期待感がありました。そして実際に総合1位の結果を聞いたときは、非常に嬉しかったです。これまでの取り組みが、しっかりお客さまに届いていたのだということが実感できました。
嬉しいことに、2025年も総合1位の評価をいただき、2年連続での総合1位をいただくことが出来ました。やはり、大きな要因は社内の意識の変化につきます。今では、社員全員が“お客さま視点“を重視する文化が醸成され、社内のガバナンス面においても、NPS®(ネット・プロモーター・スコア:顧客ロイヤルティを測る指標)が社内の重要な指標として組み込まれています。会社全体の土壌がしっかりと出来たからこそ、個々の取り組みや施策もきちんと芽が出たのだと感じています。

【5】お客さまにとって一番便利な銀行に
清水さん:これまで積み上げてきたものを大切にしながら、評価を落とさずに今後も1位を維持し続けていくことが目標です。
お客さまの期待に”応える”だけではなくその期待を“越える”こと、それが私たちauじぶん銀行の在り方だと思います。
現在、CX企画推進部はマーケティング第二部に統合され、引続き顧客満足度の向上に向けた推進をしています。まだまだ改善の余地は多くありますし、お客さまのニーズも日々変化していきます。だからこそ、今後もスピード感を持ってサービス改善に取り組み、お客さまにとって一番便利な銀行になりたいと思っています。
<オリコン顧客満足度®調査とは>
オリコン顧客満足度®調査とは、オリコンが行う顧客満足度の調査およびその結果を示した調査指標。調査方法は独自で行っており、消費者側にも企業側にも属さない公平な立場で、専門家に監修のもとランキングの信頼性・品質の高い評価指標です。
“近年の恣意的な調査によって消費者を誤認させる調査について危機感を示しながら「オリコン顧客満足度®調査は、実際のサービス利用者に対して厳格な調査基準を設けて実施されており、こうした不透明な調査とは一線を画しております」と語り、透明性と信頼性が担保されたランキングであることを強調した”
引用元:『オリコン顧客満足度アワード』102社にトロフィーを授与 参加企業は過去最多(2025.03.13 ORICON NEWS)