
出席者(写真左から)
営業担当:新川 暢之/㈱タカキベーカリー 営業本部 東日本営業本部
企画担当:多久 美香理/㈱タカキベーカリー 営業本部 営業企画室
商品開発担当:西本 真/㈱タカキベーカリー 生産本部 研究開発部 パン開発部
商品開発担当:里田 国彰/㈱タカキベーカリー 生産本部 研究開発部 パン開発部
研究開発担当:鍜治谷 孝/㈱タカキベーカリー 生産本部 研究開発部 技術研究開発室
製粉メーカー担当者
主力商品群に成長した石窯パン
(新川)今までホールセールになかったパンということで、石窯パンの発売当初は期待もありながら、なかなか思うようにいかなかったかなというのが、当時の正直な思いです。ただそれから20年経って大きく変化してきて、今では石窯パンがタカキベーカリーの主力商品になっています。社内でも石窯パンを食べて入社を決意したという社員がいて、それはすごく嬉しいし、社外の声からもすごく認知が広がったなという実感がありますね。
営業担当の新川
(多久)2018年の全面リニューアルが、拡大に繋がる大きな転換期でした。そこからコロナ禍も経て、スーパーでも本格的なパンが買えることが認識いただけるようになって、さらにお客様が増えた実感があります。また他メーカー様からもハード系の欧風パンの発売が増えてきたことからも、こうした本格的な食事用パンの市場が拡大してきていると感じます。
「石窯パンと言えばこれ」をつくる
(多久)20周年という記念の年で何か目玉になる商品が作りたいというのが発端だったのですが、みんなが一致して「石窯パンといえばこれだよね」と思い浮かぶ商品というものがないと思ったんです。そこで、石窯パンの良さが最大限生かされる“直焼きのローフ商品”で、石窯パンを象徴する商品を作ろうと決めました。(西本)そうですね。石窯といえばまずこのパンだよねという商品にするために、あらためて石窯の特徴、ポイントというのものを洗い出して、それを押さえつつ、材料や設備や技術など、20年かけて積み上げてきたものをどう反映できるかというのを、企画開発みんなで話し合って、それを落とし込んでいくということを目標に試作を重ねていきました。

商品開発担当の西本
(多久)多くの人に愛されるシンプルな商品を作りたいと思いました。
でも、シンプルなパンほど難しいんです。
シンプルだから、小麦粉で味や食感が変わる
(西本)今回、シンプルなパンを目指すということで、小麦粉の旨味だったり、発酵のおいしさというところをポイントにしていて、その中でもどんな粉を選ぶのかはとても大きなポイントでした。粉の選び方ひとつで水の入り方であったり、旨味の出方が変わるので。ひとつは吸水、水を入れることで食感に特徴を出す。そして小麦粉の旨味を存分に引き出す。という2つのポイントに絞り込んで、小麦粉を選定しました。(製粉メーカー担当者)やはり石窯パンの特徴である、しっとりもっちりという食感と、味わい・風味ですね。この2つを両立するような小麦粉をということで、はじめに宿題・テーマをいただいて、それに対して数ヶ月間ずっと改良を重ねました。

製粉メーカー担当者
吸水性と製パン性を両立させる
(製粉メーカー担当者)まず国産小麦の中でも吸水性が高いものを選び、かつ吸水の能力をアップさせるような、従来とは挽き方を変えた製粉方法に。 次に味わいを出すために、外国産の小麦を、また別の製粉方法に。その2つをブレンドして、まずは本当に品質の良いものを目指して設計を進めていきました。吸水を上げると工場の方で製パン性が悪くなってしまったりもするので、この調整に非常に苦労しました。また専用の配合設計になるので、そのために原料の調達から製粉方法の調整、粉のブレンドまで、今までやったことがないことにかなりトライしました。(里田)今までにない特徴ある小麦粉なので、今までとは少し違うミキシングをしないと、小麦粉の特徴が出てこないというところがあり、そこの部分はいろいろと情報共有をしながら検討していきました。吸水に関しても、地域が違うと水の質も変わってくるので、工場により吸水やミキサーの回転速度なども調整しながら決めていきました。

商品開発担当の里田
広く使うために、粉は主張しすぎない
(西本)一番のポイントは水がたくさん入って食感がしっとりもっちりするという点。あとやはりあまり主張しすぎない。味がとがりすぎると、どうしても広くいろんな商品に使うのは難しくなるんですが、そこのところもうまく調整していただきました。
(製粉メーカー担当者)そういう点では、他の素材の味が生きるような、少しシンプルな味わいの設計にしたいと思っていました。
8年がかりで開発した自家製サワー種
(鍜治谷)今回の商品には、自社農園で収穫したぶどう由来の自家製サワー種を使用しています。この種は開発に8年かかりました。やはり自然相手なので、本当にいいものが採れるかどうかというのは初めは本当にわからない中で着手しました。ただ、実はイーストというものを製パンに使いだしたのはつい100年くらい前で、昔は一家相伝みたいな発酵種がパン屋さんで使われていたというような話もあります。だから、きっといいものが採れるんじゃないかと信じて、いろいろチャレンジしてきました。ぶどうの収穫は毎年1回ですから、チャレンジできるのも年に1回だけなんですね。いろんな種を何度も起こして、まさに一期一会なので。いろいろなキャラクターの種が採れたのですが、その中で自分のイメージする石窯パンにこれは合うと思ったもの、特徴のある種を選んで提案しました。すっきりとした酸味と、口の中に最後に残る旨味、そういうものがバランスよく出ていると思います。
研究開発担当の鍜治谷
(西本)このサワー種を使ってみて、たしかに旨みやほのかな酸味などの特徴が、パン生地に加えて試作をしていく中で実感できました。あとは商品ごとにそのサワー種の量をどのくらい入れるかというところをすごく考えました。
素材の良さをしっかりひきだす
(里田)今回、製粉メーカー様に吸水性の高い新しい小麦粉を開発していただき、また自社農園で収穫したぶどう由来のサワー種も新しく開発しました。素材の組み合わせと製造工程も見直し、その特徴をどう引き出すかを考えながらパンを開発しました。また試作と同じような食感や味わいを、工場のラインでどうすれば再現できるかを工場の生産現場の方ともいろいろと情報共有、相談しながら作り上げていきました。(西本)「石窯THEホワイト」は今までにない特徴のある生地で、特に難しかったのが生地を切り分ける分割機の設定ですね。そこは本当に工場の責任者のみなさんが今までの知見をもとにうまく設定してくれたので、それで安定した品質が工場でも再現できるというところまで至りました。
石窯パンのおいしさを最大限に表現
(多久)小麦粉や発酵種など、その特徴がそのまま味、食感に現れていると思っています。しっとりもっちりとした、水分を感じるような食感なんですが、それでいて力強さがあるというのが最大の特徴ですね。ただ柔らかいだけではなくて、程よい噛み応えと引きがある。そこを楽しんでいただきたいなと思っています。そして、発酵の風味や、噛めば噛むほどじわじわと出てくる小麦の旨味。口どけも良くて、最後までおいしく召し上がっていただけるようなパンになっていると思います。(新川)タカキベーカリーの石窯パンの代表的な商品を目指すということで、これを柱にして営業活動に取り組みます。石窯パンといえばこの「石窯THEホワイト」と多くのお客様に思ってもらえるようにしていきたいと思います。
(多久)「石窯THEホワイト」は非常にシンプルながらも旨みのある味わい深いパンなので、いろいろな食材との組み合わせを楽しんでいただきたいです。食感については、しっとりもっちりとした日本人好みの食感になっているので、抵抗なく食卓に取り入れていただけるかと。洋食メニューだけでなく和食メニューにも合うので、ご飯の代わりに合わせていただいたりと、また新たな食卓の楽しさを味わっていただきたいと思っています。
難しい挑戦が新しい価値につながる
(多久)今回プレーンなホワイトタイプ商品に取り組みますが、これは作る力、売る力を高める非常に大きな意味があると思っています。プレーン商品は食パン・フランスパン含め、競合商品が沢山あるレッドオーシャンですが、だからこそ競合商品との味や品質の比較がしやすい。多くのお客様に手に取っていただいて、かつ、その違いを感じていただきたいと、そこに勝負をかけにいったという感じですね。作る側としても、やはりシンプルな商品だからこそ、他と差別化するための、独自技術・ノウハウを詰め込んでいく事に苦労しましたが、これは技術的な発展、さらには会社の底力を高めていくという意味でも、とても大きな意味のある事だと思っています。 今後さらに研究を重ね、この商品を磨いていきたいと思っています。
企画担当の多久
(西本)この20年で成功したこと、失敗したこといろいろあるんですけれども、多種多様な取り組みをしてきてそれをもう一度振り返ってみたときに、技術とか知識の蓄積、積み重ねをどういうふうに活かしていけるのか、ひとつ棚卸しができた感じではありました。今回シグネチャー商品という目標があって、振り返りプラス新しい取り組みというところでチャレンジできたというのは、開発として大きな意味があったと感じています。
(鍜治谷)我々がめざしている欧州の生産技術、発酵であったりサワー種を使ったり、そういう積み重ねてきたことをうまく利用すること。やはり現場も今まで非常に難しい工程であっても、おいしいものを届けたいとの想いで作ってきたと思いますが、あらためて我々の技術を最大限に引き出して開発したということが、この「石窯THEホワイト」に込められた意味だと思っています。
これからの石窯パンへの思い
(西本)やはり20年積み重ねてきたものがあるし、そしてまだまだこれからも発展していかなければいけないと思います。(里田)今回、石窯の開発に携わって、いろいろ学びがありましたので、これまで培った技術をしっかりと継承していきたいと思っています。また、お客様の食卓に並ぶ回数がさらに増えていくような商品を今後も開発していきたいと思います。
(鍜治谷)やはり、パンは発酵食品なので、もっともっと発酵というところに注目して、よりおいしいものを作っていきたいと思っています。
(新川)パンづくりは、設備だけではなくて人の部分も大切なんだなと感じました。どういうパンを作りたいのか、そのためにどういう技術や経験を積んできたのか。この人たちがいたからこの石窯パンができたんだ、という思いも乗せて、お客様、取引先様に発信していかないといけないなと思いました。せっかくこれだけいい商品が生まれたので、より多くのお客様に食べていただけるように活動していきたいと思います。
(多久)石窯パンに取り組むことは、企画力・開発力・技術力・販売力…さまざまな部門の発展、そして会社にとっての成長にも繋がるのではないかと思っています。さらに、石窯パンを多くのお客様にお届けすることで、日本のパン文化を発展させることにも貢献できれば…という風にも考えています。そのような大切なブランドなので、みなさんと力を合わせて、今後もっともっと沢山の事にチャレンジしながら進んでいきたいと思います。
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パンのある豊かな暮らしを提案するクオリティベーカリーとして、
私たちタカキベーカリーはこれからも、すべてのパンづくりを通して
おいしさの可能性に挑み続けます。
The Quality Bakery
タカキベーカリー
https://www.takaki-bakery.co.jp/
■関連情報
【リリース】石窯シリーズ発売20周年。「石窯THEホワイト」5月1日新発売
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000009964.html
【ストーリー】石窯シリーズ発売20周年座談会:工場でつくるパンの常識をくつがえす ~発売からこれまで~
https://prtimes.jp/story/detail/qb26JdS0Jpb

株式会社タカキベーカリー
毎日の暮らしでお役に立てる商品を、多くのお客様に。石窯シリーズをはじめ、食パン、菓子パンなど、おいしさと安全・安心にこだわったパンをお届けしています。
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フランチャイズベーカリー事業
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