災害時に水なしで口腔ケアができる「歯磨きシート」の普及に尽力。全国で啓発活動を続ける株式会社デンタルサロンジャパンのストーリー

2023年10月24日(火)11:55

災害時に水なしで口腔ケアができる「歯磨きシート」の普及に尽力。全国で啓発活動を続ける株式会社デンタルサロンジャパンのストーリー

＃防災　＃歯科商材　＃口腔内ケア

株式会社デンタルサロンジャパンは、『口腔内から日本の人々の健康をつくる』という企業理念のもと、歯科商材の輸入販売と口腔ケアの必要性を啓発することを通じてより良い口腔内環境からより豊かで健康的な人生づくりをサポートしている会社です。

災害時に水なしで口腔ケアができる「歯磨きシート」の普及に尽力...の画像はこちら >>

災害時に活用する防災リュック、ご家庭でも用意されている方も多いと思います。

その中に、歯ブラシなど口腔内ケアのグッズは入っていますか？

大規模災害が発生し被災者の避難所生活が長引き水の使えない環境で歯磨きをしないでいると、高齢者の肺炎が増加するといわれています。この肺炎は、現在「誤えん性肺炎」と呼ばれる“口腔内の細菌を唾液や時に食物と一緒に誤えん( 吸引 )することで発生するもの”である可能性が高いと考えられています。そこで、私達にも何かできることはないかと考え、災害時に水なしで口腔ケアができる歯磨きシートを商品化致しました。

今回は、歯磨きシートを通じてどんな影響を生み出していきたいか、商品と活動にかける想いを社長の伊勢川に聞きました。

高価な歯科商材が多いことに問題意識を新たにした創業期

歯科技工士をしていた１代目社長がはじめたのですが、歯科業界にいた中で、日本製の認可の取れた義歯などの歯科商材は高価なものが多く、高額な価格が理由で患者さんがベストな治療方法を選べない。という状況をみてきたことから、良質で価格を抑えた歯科商材があればより自由にベストの治療ができるのでは。一人でも多くの人の口からの健康を実現するお手伝いがしたいとの想いで設立された会社でした。

私は当時、会計事務所に勤めていて私の初めてのクライアントが、１代目の社長という出会いでした。

私の祖母が口腔内がんで亡くなったこともあり興味がある分野だったのですが、口腔内のこと、そして歯科医療のことを知っていけばいくほど、口腔内の状態が健康全体に直結していると感じるとともにこの分野の日本の遅れを何とかしたい。という想いが膨らんできました。前社長と対話を重ねるうちに、ゆくゆくは社長として会社を任せたいから一緒にやらないか？とお話しを頂き “口腔内の分野で日本の役に立ちたい！チャレンジしてみよう！”と決意し引き受けることにしました。

災害時に水が使えない状況で使える歯磨きシートに着目した

“口腔内に関わる良い商材はないか？”常にアンテナを張って国内外問わずリサーチする中で、既に取引のある中国の企業で歯磨きシートの原型となるものを見付けました。歯磨きシートというとウェットタイプが多い中、ドライシートで作れると知り、災害時用に保管しやすく、水が使えない環境でも口腔内をケアできる！これは日本の人々の役に立つ！と確信があり輸入に向けて話を進めていきました。

輸入に向けて特に一番苦労したのは、品質管理でした。

口腔内に入れるものですので製造工程から完成に至るまで厳しいチェック基準を設け、FDA認証を取得することも含め力を注ぎました。

自治体への導入実績のない歯磨きシート。プレゼンテーションに苦戦するも、大分市役所への導入が決定

念願の商品が到着して、「よし！これを災害時に役立ててもらおう！」意気揚々と会社の所在する大分県市区町村を訪ねてみるも、導入実績のないものを市区町村で取り扱ってもらうのが難しく思いのほか難航しました。防災・災害用備蓄は毛布や非常食など導入の前例があるものが優先だったことと、口腔内のケアの必要性があまり知られていなかったことから、市区町村への訪問を始めたころは反応があまりよくはありませんでした。

それでも保健所でプレゼンのチャンスをいただき、その後も勉強会などのお時間を頂き、災害時の口腔ケアの必要性のエビデンスを元に伝えていきました。

口腔内のケアを数日間しないだけでも誤嚥性肺炎などの危険性が高まるというデータを知って頂くことで避難時の口腔ケアの必要性を理解頂き、半年後ようやく大分市役所への導入が決まりました。

前例のないものに対してはハードルが高いように感じましたが　必要性を理解してくれたことがとても嬉しかったです。

その後、起きた熊本地震では被害のひどかった益城町に寄付するなど、地道な活動を続けていきました。

デイケア施設で口腔内ケアの必要性を伝える勉強会を継続

たった数日歯磨きをしないことで健康を損なう事例が多くあるのですが、知っていれば歯磨きをしよう！という意識が芽生えるので事前に防げることでもあります。

デイケア施設の職員の方も、利用者さんも熱心に聞いて下さり、「知らなかったです。災害時には歯磨きなんて後回しにしてしまいそうですが、大切ですね！」というお声を頂くことが多くまだまだ知られていないことを痛感するとともに、より多くの人に知ってもらわなければ、と改めて今後の活動の必要性を強く感じています。

防災のみならず健康的な人生のために、口腔内ケアの必要性を伝える活動を継続したい

今後もこの歯磨きシートを通じて口腔内ケアの必要性を伝えていく活動をしていく予定です。口腔内のケアがとても大切で、その意識をこの歯磨きシートをきっかけに広めていきたいと考えています。防災はもちろん、けれども防災だけでなく口の中からつくれる健康を日本中の人たちに知って頂き、それぞれの健康的な人生に役立ててほしいのです。

口腔内ケアの必要性を全国各地をまわって伝えていきたいです。