本記事では、当社営業戦略本部の神谷さんにインタビューし、若手社員ながら営業現場に生成AIを根付かせてきた取り組みや、その成果、そして今後の展望についてご紹介します。
いま、生成AIの進化がビジネスの現場を大きく変えています。
当社、日立情報通信エンジニアリング(以下、当社)においても例外ではなく、設計や開発などの技術系部門を中心に、業務効率化や品質向上を目的とした生成AI活用の取り組みが推進されています。
2024年には、当社が長年培ってきた開発・設計のノウハウをベースとした既存の「メニューベースエンジニアリングサービス」に、生成AIの活用を加えることでさらなる強化を図ったことを発表しました(詳細)。これにより、お客さまへの提案の幅が広がり、より高信頼・高付加価値なソリューション提供が可能な体制を整えています。
こうした技術系部門主導の生成AI活用が進む中、営業現場においても生成AIによって業務の当たり前を進化させる取り組みがあります。
そこで今回、入社4年目の若手ながらも営業部門での生成AIの活用普及に努める営業戦略本部の神谷さんにインタビューをし、これまでの生成AIの普及活動に対する取り組みについて、社内向け生成AIサービス(ChatGPTをベースに当社が独自開発した、社外秘情報を安全に使用可能な生成AIサービス)の存在や所感にも触れながら話してもらいました。
営業部門での生成AI活用の推進と実践
神谷さんの現在の担当業務やその経緯について教えてください
営業部門内での生成AI・ツールの業務活用に関する施策の検討や支援を担当しています。具体的には、営業部門向けの生成AI勉強会の実施や、関連コンテンツの作成、AI関連の展示会への参加を通じた情報収集を行っています。経緯としては、生成AIを自分だけの便利ツールにとどめておくのはもったいないと感じたことからです。
「ChatGPTって使ったことある?」そんな会話が社内でもちらほら聞こえ始めた2023年、私はプライベートで生成AIを利用し始めていました。そして、実際に利用していく中で、社内業務の効率化にも活用できるのではないかと思ったのです。
例えば、営業資料の下書きやメール文面の作成、調査結果のまとめなど、日々の“ちょっとした手間”が格段に楽になるのではないかと。
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写真:日立情報通信エンジニアリング、営業戦略本部の神谷さん(入社4年目)
改めて、主な取り組み内容について教えてください。
先ほども触れた営業部門向けの生成AI勉強会の開催です。営業業務にどのように生成AIを活用できるかを探るため、営業メンバーの業務プロセスをヒアリングし、生成AIで代替可能な作業を試行しました。その結果をもとに、営業部門に向けた勉強会を企画・開催しています。勉強会の内容は「そもそも生成AIとは?」という基本的な知識から始まり、「どのように質問すればいいか」や「業務でどう生かせるか」といった生成AIの仕組みまでを詳しく解説しています。さらに、営業現場での実践例やプロンプト設計のコツも紹介しています。
また、勉強会では当社独自の社内向け生成AIサービスと一般的なツール(例:ChatGPTやMicrosoft 365 Copilot)との得意分野を比較し、使い分けのヒントを提供しました。
時には、Microsoft 365をはじめとした実務ツールとの連携についても触れ、複数回にわたって勉強会を開催しています。
勉強会に加えて、営業本部内での活用事例を事例集としてまとめて共有することで、現場ごとの工夫やコツを広める“ナレッジのハブ”としての役割も意識しています。
社内向け生成AIサービスは推進活動の中でどのような存在ですか?
社内向け生成AIサービスは、生成AIを耳慣れたツールとして認識させる上で重要な役割を果たしてくれたと感じています。当社では、2023年からChatGPTをベースとした社内向け生成AIサービスを展開していますが、他社の生成AI導入の流れを考慮すると、当社は比較的早期に社内向け生成AIサービスを導入したと言えます。だからこそ、営業部門内での生成AIの推進活動もスムーズに受け入れられていると感じています。今となっては社内向け生成AIサービスを使用することが当たり前になっていますが、導入初期の頃は馴染みが薄く、正直なところ少し抵抗があった記憶があります。
そうですよね。私的利用とは違って、会社にはルールがあるので特に抵抗感を感じやすいと思います。新しいツールや考え方を導入する際に、社内の反応が慎重になることはあるあるだと思いますが、当社の生成AIサービスも例外ではありませんでした。効率化の可能性を理解していても、それが“自分ごと”になるには時間がかかります。そのため、「生成AIを業務に生かしましょう」と声をあげても、すぐに浸透するものではありませんでした。そのような中で、「生成AI」という耳慣れないツールを身近なものとして受け入れてもらうための推進力となったのが、社内向け生成AIサービスだったと感じています。実際、サービス展開後には「使ってみたけどどう?」「どんな風に使ってる?」などの声が営業部門内で聞こえるようになりました。また、当社の新人研修で社内向け生成AIサービスを紹介するなど、会社として生成AIを身近なツールとして位置付ける動きは、日立情報通信エンジニアリングの強みだと感じています。
当社の社内向け生成AIサービスも一般的な生成AIと同様に随時更新を重ねているので、引き続き営業部門内での生成AIの活用が加速されることを期待しています。
業務への生成AI活用が標準化されることをめざして
勉強会やその他施策の実施後、どのような効果を感じましたか?
勉強会に関しては、オンライン参加も合わせて多くの方々に参加いただきました。振り返りアンケートでは、過半数以上の方々に、業務における生成AIの有効性を感じられたと回答していただけました。さらに、後日実施した営業部門の生成AI活用実態調査アンケートでは約8割の方々が生成AIの利用によって業務の効率化を実感したと回答しています。
また、勉強会実施後には生成AIの活用方法に関する相談が増えてくるなど、営業部門全体で生成AIの活用方法について積極的に意見が上がる環境を作る一歩を踏み出せたと感じています。
具体的にはどのような相談がありましたか?
例えば、「自分たちが探している提案資料やチラシを社内のSharePointから探してきてくれるようなシステムはできるのか?」という相談を受けました。確かに、提案資料やチラシを一から探すよりも、生成AIに要望を伝えて回答を得る方が作業工程を大幅に削減できます。そこで現在、Microsoft 365 Copilotを活用した資料検索用プロンプトを試行中です。指定したURLや資料を読み込ませておき、検索対象の説明や指示を記入することで実現が可能になります。
また、プロモーション担当者からは、「単純な文章の添削だけでなく、広告宣伝物の表現チェックに基づいた添削も可能か?」という相談も受けました。こちらもMicrosoft 365 Copilotへ該当の表現チェックを明記した資料を読み込ませ、添削の指示を記入することで実現可能となります。これは各種コンテンツの質向上だけでなくブランドの統一性にもつながります。

ここまで、Microsoft 365 Copilotを活用した提案をお話ししました。
今後は、当社の営業活動に合わせたExcelやWord上での生成AI使いこなし勉強会を実施したいと考えています。さらに、勉強会以外に実施している取り組みにもより一層力を入れ、生成AIの活用について積極的に声が上がる環境づくりを引き続き進めていきたいです。
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写真:次回の営業部門向け勉強会の資料を作成する神谷さん
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生成AI活用普及に関する神谷さんの活動(一部抜粋)
「営業×生成AI」でひろがる可能性
最後に今後の展望についてお聞かせください。
「AIで生まれた時間を、顧客のために使う」というのが一つの目標です。生成AIの活用が広がることは働き方の選択肢を増やすことでもあり、仕事のやりがいや創造性を高めることにもつながると感じています。
これからも「営業×生成AI」の可能性を追求しながら、部門を超えた連携も強化し、より価値のある提案と働き方の実現に取り組んでいきます。
日立情報通信エンジニアリングのこれから
当社、日立情報通信エンジニアリングでは、営業部門の神谷さんの活動をはじめ、さまざまな業務を生成AIの活用で効率化させる取り組みが活発に行われています。今後さらに生成AI活用の取り組みを強化し、最新の技術と豊富な経験を生かしながら、お客さまのニーズに応えるサービスを提供および課題解決の加速にさらに取り組んでまいります。
■日立情報通信エンジニアリングについて
株式会社 日立情報通信エンジニアリングは、公共・企業、産業、ヘルスケア、自動車関連の分野において、ネットワーク機器や関連するソフトウェア・サービスを駆使したネットワーキングとカスタマイズやローカライズへ最適化するエンジニアリングと要素技術を提供します。詳しくは、日立情報通信エンジニアリングのウェブサイトをご覧ください。
■商標に関する表示
・ChatGPTはOpenAI社の登録商標または商標です。
・Microsoft 365、SharePoint、Excelは、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
・その他記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
■お問い合わせ先
株式会社 日立情報通信エンジニアリング 営業統括本部 営業戦略本部
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お問い合わせ:https://www.hitachi-ite.co.jp/inquiry/index.html
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