あらゆる多様性があふれ、人と人が支えあう社会を目指すパフォーミングアーツの祭典<True Colors Festival - 超ダイバーシティ芸術祭 ->(主催:日本財団)。2019年9月から約1年間にわたってさまざまなイベントやプログラムを予定している<True Colors Festival>より、10月22日(火・祝)代々木公園野外ステージイベント広場にて音楽イベント<True Colors BEATS ~Uncountable Beats Festival~>を実施。
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Interview:YAKUSHIMA TREASURE
──今回、YAKUSHIMA TREASUREとして<True Colors BEATS>へ参加されますが、このユニットの結成のきっかけは屋久島でフィールドレコーディングを行い、作品を作るというプロジェクトですよね。先日も、リキッドルームで単独公演をされていましたが、そこでは“土”と“苔”を生けるパフォーマンスがあったとか……。コムアイ そうなんです。リキッドルームの単独ライブでは、実際に私たちが屋久島で聞いた話を演出のベースにしています。屋久島は近くの火山の噴火の影響を受けていて、燃えてなくなった焼け野原に少しずつ植物が生えてくるというイメージです。その構想を空間演出をしていただいた華道家の上野雄次さんに伝えたところ、ステージに土を盛ってその上に苔を生けるという、ステージに屋久島をつくるような演出になりました。ライブ自体は私と(オオル)タイチさんのセッションで、このライブ用に作った曲もありましたが、基本はストーリーを決めずにその場で使いたい音や、想いを組み立ててセッションをする感じでした。なので、リハーサルと本番では、私とタイチさんの出す音や揃うタイミングも違いましたね。
Official Trailer | Re:SET feat. Wednesday Campanella's KOM_IEP 1 コムアイの原点 | Re:SET
──フィールドレコーディングを通して、YAKUSHIMA TREASUREの伝えたいことが固まっていった?オオルタイチ 屋久島でのレコーディング中、イメージを固める発想は全然考えられなくて、とにかく好きなように動いてレコーディングに集中していましたね。何も考えずにやってみて、こんなふうに成り立つものが作れるんだって改めて気付かされました。もちろん規定はあるけれど、実験しながら作っていけたのがすごく楽しかったですね。コムアイ そうだね。屋久島のことをわからず始めたけど、出来上がったものは間違いなく屋久島に影響を受けている……。屋久島は水の島で、土が深いわけではないんです。
水曜日のカンパネラ『屋久の日月節』 | Re:SET EP 7
──このプロジェクトはお2人にとってすごく大きなインスピレーションとなっているように思えますね。

──コムアイさんにとっての“ありのまま”とは?コムアイ ライブをやっていて一番難しいところが、自分の心をおっぴろげにすることだと思うんです。ライブ中に、無意識に色んなことを気にして周りに合わせようとしているときがありますが、自分そのものを受け入れられていない、と感じているんじゃないかと。


──<True Colors Festival>にあるもうひとつのキーワード“多様性”についてはどうですか?“多様性”を受けいれる、その広がりや可能性についてお二人の考えを聞かせてください。 オオルタイチ 日常において、ちょっとドキッとするような人たちはたくさんいると思います。自分が住んでいる周りでも色々な人たちがいる。日本の社会での広がりははっきりわからないですが、色々な人たちがいる環境自体を楽しめたらいいなといつも思っていますね。コムアイ 自分が関東育ちなのもあって、ユーモアが足りないなと思います。例えば、変だなと思うことを、人にちゃんと突っ込むと面白くなる。東京にいると「これはないな」と思ったら、サーっと引いちゃうことが多いから。それが切ないなと思いますね。オオルタイチ でも突っ込むこともできないことってありますよね。生活の中で起こると笑いにできないことも多いので、自分がいる生活の周りに対してもっと目を凝らした方がいいんだろうなと思いますね。それをどう面白くしていくか。社会でも、1つの集落だったとしても、一定の枠組みの中で暮らしてはいるけれど、わりと独自のルールの中で動いている気がします。それを垣間見るときにドキッとする自分もいるんです。独自性というか、そういうものをもっと歓迎できるようになれると良いかなと思います。それができるところが音楽の場でもあるのかもしれない。コムアイ 人のことを、自分が知っている面と人から聞いた面とで重ね合わせて、理解できるときもあれば、乖離するときもあったりしますよね。結構、人間は揺らいでいるものだと私は思うんです。こうして話をしているなかで自分も“TRUE COLORS”の“TRUE”って言葉を本当に理解しているかピンとこない部分がある。色自体が揺らいでいるもので、日々違う。寝て起きたら気持ちが変わったりするし、考えていることを忘れることもありますよね。逆に、確固たるものがあるって思い込むことが、危ないことなのかなと思いますね。

──なるほど。人それぞれカラー(色)があることが大事で、1色だと思っていることが正しくないときもありますよね。コムアイ YAKUSHIMA TREASUREをやっていて、「これとこれは別物」っていう考えよりは、全部一緒だって考えでやっているような気がします。生き物の種別にしても音楽のジャンルにしても。だから、いろいろな色があったとしても「カラーが違う」ってことを先に意識して何かを始めること自体が、“多様性”を受けいれることと遠い考えなのかなと思います。障害や性別がどうこうってことを先に意識するのではなく、例えば、音楽が先にジャンル分けされているわけでないのと一緒で。色んな人の違いが、なんとなく渦になっているということが良いなって思います。YAKUSHIMA TREASURE は、違いを気にしないことであって、全部一緒だという考えが前提にあるので、もしかしたら“多様性”に対して暴力的な考えなのかもしれないです。でも、“多様性”というものに対して囚われすぎないでというか、そう生きていけたらいいなって。オオルタイチ なるほど、確かに。コムアイ 普通に接することが重要だと思うんです。違いを決定せずに、それが難しくて、ついつい相手を決めつけてしまいますが。──最後に<True Colors BEATS>に向けて、どんなパフォーマンスになりますか? 当日ライブにくるお客さんに向けてメッセージをお願いします!オオルタイチ すごく昔ですが、サンティアゴさんが来日したときに共演したことがあるんです。その時は、サンティアゴさんがバナナの葉を持ってきていて、ライブ中にそれを使っていました。実験的なことをされている方なので、サンティアゴさんのライブはすごく楽しみですね。コムアイ YAKUSHIMA TREASUREのライブ、頑張ります! いまは色々と試していて、おそらく直前までどの曲をやるか考えると思いますし、気になっていることをライブに向けてやってみたり。衣装や美術もその時々で変えているので、まだ決まってないですが楽しみにして欲しいです。あとはちゃんと本番、その場で受けたものをライブのなかできれいに転化できるようにしたいです。

Photo by 横山マサトText by Qetic編集部
EVENT INFORMATION
True Colors BEATS ~Uncountable Beats Festival~
2019.10.22(火・祝) マーケット:12:00~18:00 ライブ:14:00~18:00 代々木公園野外ステージ・イベント広場 観覧無料、申し込み不要
LINE UP: イベント・ディレクター サンティアゴ・バスケスゲスト・アーティスト(ワークショップ参加者とともにワークショップ、フェスティバルに参加) ermhoi(エルムホイ)、xiangyu(シャンユー)、岩崎なおみ、大友良英、角銅真実、勝井祐二、コムアイ(水曜日のカンパネラ)、高良久美子、芳垣安洋、フアナ・モリーナ、ミロ・モージャゲストバンド: YAKUSHIMA TREASURE(水曜日のカンパネラ×オオルタイチ)、Monaural mini plug(モノラルミニプラク)ゲストDJ:岸野雄一
ゆずりあいエリアあり(車椅子をご利用の方、体の不自由な方、聴覚障害のある方、視覚障害のある方、補助犬を利用している方、小さなお子さまをお連れの方などのエリア)・インフォメーションでの手話通訳あり・筆談ボードあり・多目的トイレあり・有料駐車場あり・会場案内スタッフあり
マーケットちきゅうすくい、アーティストによる似顔絵コーナー(堀広道、しまおまほ、霊界似顔絵師境みなと、後藤友香、BZ Joint)、Gemarris Jewelry、ZAPOTECOほか※雨天決行、荒天中止
ワークショップへ応募はこちら<True Colors BEATS>の詳細はこちら<True Colors Festival>特設サイトBeat Compañero/波動の交わり
2019.10.23(水)OPEN 18:30/START 19:30渋谷WWW X
ADV:立見 ¥5,000/指定席 ¥5,800(1ドリンク別)DOOR:立見 ¥6,000/指定席 ¥6,800(1ドリンク別)
LINEUP:YAKUSHIMA TREASUREサンティアゴ・バスケスフアナ・モリーナミロ・モージャ
TICKET
主催:株式会社つばさプラス制作:SALMONSKY後援:TRUE COLORS FESTIVAL協賛・協力:QETICお問い合わせ:WWW X 03-5458-7688
詳細はこちら
YAKUSHIMA TREASURE(水曜日のカンパネラ × オオルタイチ)
2019年4月にYouTube Originalsで発表された、水曜日のカンパネラと屋久島のコラボレーションを試みる作品 Re:SET。この作品を通し一枚のEP「YAKUSHIMA TREASURE」が誕生した。島のカエルの鼓動や木々をうつ雨、岸壁の風、波の音に耳を澄まし、村のおばあちゃんたちとうたい、あの手この手で採集された音をもとに様々な曲が制作された。屋久島の自然を壊滅させてしまった縄文時代の鬼界カルデラ噴火を題材にした「屋久の日月節」をはじめ、水曜日のカンパネラとオオルタイチが屋久島と取っ組み合い、紆余曲折を経て生み出したタカラのような曲たちをライブセットで披露する。
コムアイ
アーティスト。1992年生まれ、神奈川育ち。ホームパーティで勧誘を受け歌い始める。「水曜日のカンパネラ」のボーカルとして、国内だけでなく世界中のフェスに出演、ツアーを廻る。その土地や人々と呼応して創り上げるライブパフォーマンスは必見。好きな音楽は民族音楽とテクノ。好きな食べ物は南インド料理と果物味のガム。音楽活動の他にも、モデルや役者など様々なジャンルで活躍。2019年4月3日、屋久島とのコラボレーションをもとにプロデューサーにオオルタイチを迎えて制作した新EP「YAKUSHIMA TREASURE」をリリース。同名のプロジェクト「YAKUSHIMA TREASURE」として各地でライブやフェスに出演中。HP||Twitter|Instagram|Facebook
オオルタイチ
1999年より活動を開始。『漂流する内的民俗』をキーワードに電子音と非言語の歌が融合した音楽を展開。The Residents、Puzzle Punks、Aphex Twin等の音楽に影響を受けながら、当初は即興演奏を軸に楽曲制作を行っていたが、90’ダンスホールレゲエとの出会いによりトラック制作を本格的に開始。かねてより衝動的な即興表現として用いられていた声の要素はパトワ語の響きに触発され、さらに歌のようなものへと変化を遂げ、現在のスタイルが形作られた。ソロ名義以外にバンド・ウリチパン郡やYTAMOとのユニットゆうきなどでも活動。近年では水曜日のカンパネラへの楽曲提供や、舞台音楽の制作なども手がけている。HP|Twitter
RELEASE INFORMATION

『YAKUSHIMA TREASURE』
水曜日のカンパネラ&オオルタイチ
M1. 地下の祭儀M2. 島巡りM3. 殯舟M4. 東M5. 海に消えたあなたM6. 屋久の日月節
ダウンロード&ストリーミングはこちらCopyright (C) Qetic Inc. All rights reserved.