『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』が出版&累計2万部を記録
広島出身の庭田と渡邉教授は、AI技術で自動カラー化した写真をもとに、対話の場を生み出す「記憶の解凍」プロジェクトに取り組んでいる。このプロジェクトは、庭田が高校在学中の2017年にスタートし、発展しながら続いてきたものだ。





渡邉英徳教授 コメント戦前から戦後にかけての写真は、もっぱらモノクロです。カラーの写真に眼が慣れた私たちは、無機質で静止した「凍りついた」印象を、白黒の写真から受けます。このことが、戦争と私たちの距離を遠ざけ、自分ごととして考えるきっかけを奪っていないでしょうか?私たちはいま、AI(人工知能)と人のコラボレーションによって写真をカラー化し、対話の場を生み出す「記憶の解凍」プロジェクトに取り組んでいます。戦前の広島・沖縄・国内のようす。そして開戦から太平洋戦線、沖縄戦・空襲・原爆投下・終戦。本書には自動カラー化ののち、写真提供者との対話、資料、SNSでの時代考証などを踏まえて仕上げた、約350枚のカラー化写真が収録されています。しあわせな暮らしが、少しづつむしばまれていくようす。戦禍が日常に。そして焼け跡から生まれた希望。一葉一葉をめくり、眺めながら、過去のできごとに思いを馳せていただければ幸いです。
庭田杏珠 コメント高校1年生の夏。私は広島平和記念公園で偶然、浜井徳三さんと出会いました。浜井さんの生家は戦前、中島地区で「浜井理髪館」を営んでいました。中島地区は現在の平和公園にあたる場所で、原爆投下前は4,400人が暮らす繁華街でした。浜井さんが疎開先に持参した大切なアルバムを見せてもらうと、戦前のご家族との幸せな日常を写した白黒写真約250枚が収められていました。「ご家族をいつも近くに感じてほしい」という想いから、私はカラー化の取り組みを始めました。その後も、少しずつ中島地区の元住民との繋がりが広がり、資料や対話を通してよみがえったさまざまな「記憶の色」を再現しています。写真集の出版にあたり、私自身は子どもたちの目線から写真を集めました。戦争は、戦地で戦う人たちだけではなく、子どもたちを含む一般市民も巻き込まれてしまうものなのだと伝えたかったからです。家族と最後のお別れもできないまま、永遠に一人ぼっちになってしまった、中島地区の浜井さんたちの想いとともに……。本書を通して、戦争や平和について、自分ごととして想像してほしい。そして、それぞれが感じた想いをまた、大切な友達や家族に伝えてほしいなと思います。これが、今の私にできる戦争体験者の「想い・記憶」のあたらしい伝え方です。
片渕須直(映画『この世界の片隅に』監督) 帯コメントすずさんの時代にたどり着きたいと思っていたら、ここにもタイムマシンを作ろうとする人がいました。
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AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争

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「AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争」出版記念講演会75年目の『記憶の解凍』~AI×ひと 戦争を次世代に伝えること~

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