Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊コラムの中坊氏によるコラムをお届けします。
散見される、アルビレックス新潟サポーターによる謝罪
6月23日、J1アルビレックス新潟の樹森大介監督が契約解除となった。
このリリースの後、新潟サポーターからJ2水戸ホーリーホックへの謝罪ツイートが散見された。
昨年、水戸のヘッドコーチだった樹森氏を新潟は監督として引き抜き、一年経たずに契約解除となったため、引き抜かれた側の水戸に対し、申し訳なさから新潟サポーターが謝罪するという構図である。
本件について、謝罪の良し悪しというよりも個人的な見解を述べたい。
新潟への監督就任を決断したのは、樹森監督本人という前提
まず、前提として樹森監督が水戸から新潟へ何か断れない事情等をもって強引に連れて来られたわけでもなく、新潟からのオファー内容、厳しい予算規模、条件・状況を吟味した上で自らの意思でチャレンジを選び、自らサインしたというのが事実。
新潟側が騙したわけでもなく、外圧としてオファーを受けざるを得ない状況に追い込んでいるわけでもなく、オファーを受ける、受けないの最終判断は樹森監督本人によるもの。
47歳の既にサッカー界でキャリアを積んだコーチであり、自己責任を問うのは難しい未成年選手というわけでもない。
とてもリスクある決断を選んだ末、失敗した、というのが今回の事象である。
プロのサッカー界は挑み続ける世界
新潟のクラブ予算規模は事前に調べればわかる話であり、その予算規模から他のJ1クラブと比較して「監督の希望通りの補強は難しい、J1を戦うスカッドとしては厳しい」というのも容易に想像がつくもの。
それに伴い、「新潟の監督としてJ1で結果を出す、残留を成し遂げる」というのが困難なミッションというのは着任前からわかる話である。
それでも新たなキャリアとしてチャレンジしたのが樹森監督本人の決断である。
送り出した水戸側から新潟に文句言う人が出てくるのはそれは理解できる。ただ、その新潟を選んだのは樹森監督本人。
「こういったことにならないよう、監督側はクラブからのオファーをよく調査・吟味して、慎重に受けるべき」
そういった見解もあるだろう。ただし、プロのアスリートの世界は全てが高い目標、ストレッチな目標へのチャレンジである。
この世界は、一般的な世界とは少し異なり、理屈ではない世界。常に挑み続けるしかない世界だ。
これは監督だけではなく選手も同様であり、常にステップアップを考えてキャリアを積んでいく。そういった世界であれば、たとえ困難な茨の道が予想されたとしても、チャレンジとして挑む決断を選択する。そういった思考が前提の世界だ。
謝罪をするのが良い悪いという話というより、このサッカー界においてその必要性はない、というのが個人的な見解である。