2022年FIFAワールドカップで悲願の初優勝を果たしたリオネル・メッシ。
そうしたなか、アルゼンチン代表を指揮するリオネル・スカローニ監督は、『Marca』のインタビューでこんな話をしていた。
「(現代のサッカーに欠けているものは?)
分析があまりに多すぎる。今では誰もが相手のプレースタイルを知っているし、情報過多になっている。一番は選手がコントロールされていること。
本質を失って、その選手の最も優れたもの奪ってしまうリスクがある。常に何をすべきかという指示を与えているとそのリスクがある。我々は伝えるべきこと、本当に重要だと思うことだけを十分に伝え、情報を与えすぎないようにしている。
プロレベルだけでなく、子供たちのレベルでも、我々はサッカーの本質を失いつつある。私の子供たちはスペインでプレーしているが、情報過多だ。ボールを持ったら、もう何をすべきか指示されている。
(だからドリブラーがどんどん減っている)
その通りだ。ドリブラーがいないのは、ボールを受けるとすぐに『パスしろ!』と言うからだ」
「想像してくれ。もし、メッシが8歳だった時に『パスしろ!』とコーチに言われていたら、今の彼はいなかっただろう。
これは印象深いものだ。なぜなら、サッカーがこれほど大きなものになったので、誰もが研究し、マネージメントができると思っている。
7~8歳の子に、ダイゴナルにやれ、カバーしろと指示する。7歳だよ!ボールで遊ばせてあげて、ミスをさせてあげなきゃ。修正を始めるのは14~15歳になった時だ。これは将来へのメッセージ。これはスポーツであり、サッカーの美しさを失ってはいけない。
(結局、違いを生み出すのは才能であり、サッカーは選手のものであり、コーチのものではない)
そういうものだ。そう信じていないコーチたちもいるかもしれないが、確かなことだ。コーチたちは自分のやり方を信じているし、選手たちはその指導で良くなったり悪くなったりする。従わなければ負ける。
それは確かだが、私からすれは違う。
12~13歳の子たちはボールを持って楽しまなければいけない。頭ごなしに修正してはいけない、彼らの本質を奪ってしまうからね。だから、以前はいたような自由気ままな選手たちはますます減っていくだろう」
幼少期から型にはめるような指導が増えてきたことで、サッカーの本質が失われつつあると危惧しているようだ。