![劇的同点弾のJ1神戸FW武藤嘉紀が投げかける厳しい言葉の数々「仲良しでやっているわけじゃない」](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FQoly%252Fa7%252FQoly_mzy5fxa6_qoly_kobe_muto_gib_1%252FQoly_mzy5fxa6_qoly_kobe_muto_gib_1_1.jpg,zoom=600,quality=70,type=webp)
【J1第37節ヴィッセル神戸1-1柏レイソル、11月30日、三協フロンテア柏スタジアム】
J1連覇に向けて勝利を目指した神戸だったが、柏に1-1で引き分けた。前半5分にコーナーキックから柏FW木下康介にヘディングシュートを決められて先制を許した。
「試合に入り切れていない選手がいた」
この試合に勝利すればリーグ連覇に大きく前進する神戸は、アウェイの地で柏と対戦した。
天皇杯王者は序盤から苦戦を強いられた。前半5分にコーナーキックから木下にヘディングシュートを決められた。すぐさま同点に追いつきたい神戸だったが、勝てばJ1残留が決定するホームチームの堅い守備に手を焼いた。
先発出場した武藤は、試合の入り方を間違えたイレブンに厳しい言葉を投げかけた。
「1番大事な試合に入り切れていない選手がいました。そのようなものは必要がないと何度も言っています。チームとしてやること、とにかく戦うこと、絶対にそのような部分はぶれてはいけない」
神戸は柏との相性が悪い。リーグ戦における最後の勝利は2021年5月(J1第16節2-1)までさかのぼるほか、直近の10年間に行われたリーグ戦で、わずか2試合しか勝利できていない(2021シーズンJ1第16節、2018シーズンJ1第18節1-0)鬼門の相手だった。
神戸FW武藤嘉紀(左)、柏MFマテウス・サヴィオ(右)1点を追いかける展開の神戸は、柏の術中にハマった。神戸DF山川哲史とDFマテウス・トゥーレルの両センターバックはビルドアップの場面で、相手FW陣の守備に苦戦。
パスコースが消されたDF陣はロングボールを選択したが、イレブンはなかなか競り合いに勝利できなかった。またセカンドボールの回収が遅れ、相手ボールの時間帯が増えた。守備に翻ろうされる展開が続いた神戸は、前半に7本ものシュートを打たれた。
武藤は「(前半の)立ち上がりから失点、かつ球際で勝てない。反応が遅い。相手は勝てば残留という難しい試合になると分かっていたにもかかわらず、あのような入り方をしてしまった。それ自体が間違いですし、僕らには必要のないことです」と甘さを指摘。チームは決定機を演出できないまま、後半に逆転を目指した。
「僕らは仲良しでやっているわけじゃない」
23日に行われた天皇杯決勝後には、優勝の喜びを最小限に留めて、すぐさま今節に向けた気持ちをつくり始めていた背番号11。並々ならぬ想いで臨んだ一戦だったからこそ、自身が奪った同点弾に気持ちを爆発させた。
後半55分、右コーナーキックの流れから得点が生まれた。
広瀬のシュートは相手GKに防がれたが、柏DFによる必死のクリアボールは再び同選手の足に跳ね返りながら武藤のもとへと転がった。
「オフサイドだ」と背番号11は思ったが、ボールにすぐさま反応し、絶妙な位置にトラップした。ストライカーは倒れながら左足でシュートを放ち、ゴール右側のネットを揺らした。
「最近、慌てて外してしまうことや、ゴールキーパーに止められてしまう場面が多かったので、とにかく冷静にワンタッチ目を置けたことが大きいです。最初はダイレクトでいこうと思っていましたけど、あまりに急なボールで体勢も悪かったので、トラップで(得点が)決まったと思います」
一度はオフサイドの判定を受けたが、VARでゴールが認められ、神戸が土壇場でスコアを振り出しに戻した。
喜びのあまり思わずユニフォームを脱いだ武藤は、そのままゴール裏へ一直線。サポーターに向かって歓喜の雄叫びを上げた。
![劇的同点弾のJ1神戸FW武藤嘉紀が投げかける厳しい言葉の数々「仲良しでやっているわけじゃない」](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FQoly%252Fa7%252FQoly_mzy5fxa6_qoly_kobe_muto_gib_1%252FQoly_mzy5fxa6_qoly_kobe_muto_gib_1_2.jpg,quality=70,type=jpg)
難敵・柏に苦戦を強いられたが、最後まで諦めなかった神戸イレブン。同点後は勝ち越し弾を奪いにいったが、試合はそのまま1-1で終了した。
昨季のJリーグチャンピオンは連覇に向けて最低限の結果をつかみ取った。
武藤は「きょうの勝点1が自力で優勝を決められる形に持ち込んだ。
今季はここまでリーグ戦36試合出場12得点7アシストを記録している背番号11は、天皇杯決勝では神戸FW宮代大聖の決勝点を演出するなど、チームの窮地(きゅうち)を救ってきた。日本代表や欧州の舞台で数々の修羅場を経験した32歳は、最終節を前に再び高い基準をチームに課す。
「僕らは仲良しでやっているわけじゃない。チャンピオンになることはそれだけ難しいこと。厳しい言い方になるかもしれませんが、戦えない選手は置いていく気持ち。僕ら自身が戦う姿を見せないといけない」
武藤によれば、試合後の雰囲気は決して良くなかったようだ。それでもチームの大黒柱は、ここで問題をあやふやにせず、選手間で対話を重ねる必要性を説いた。
「僕も個々で話さないといけない選手がいる。ここであやふやにしてしまったら、成長にもつながらない。僕自身も反省して、つぎに最高のコンディションで迎えられるように1週間トレーニングをしていきたいです」
勝点69の神戸は最終節J1湘南ベルマーレ戦(8日、兵庫・ノエビアスタジアム神戸)に勝てば、自力でリーグ2連覇を決める。
「勝てば優勝。ワクワクしています」と奮い立つ武藤。全員で掴み取った勝点1を2連覇につなげる。
(取材・文 浅野凜太郎)