サッカー発祥の地、イギリスの特徴的なサッカー文化といえば「アマチュアサッカー文化」と「パブ文化」の2つだろう。一説ではサッカークラブは5000クラブ以上、パブは数万件存在しているとも言われている。
そのため、度々問題となっている論題が「サッカー選手、試合前日でも飲みすぎ問題」である。
アマチュアサッカー選手の実に7割が、二日酔いの状態でのプレー経験があるという。また、昨年にはマンチェスター・シティの選手たちがプレミアリーグ優勝後に痛飲、二日酔い状態でFAカップ決勝に挑み敗れていたことが大きな話題となった。
そうした中、イギリス紙『The SUN』はアマチュア選手1,000人を対象にした調査を実施。選手らの飲みすぎ事情、そして地域で行われている対策を報じた。
同紙によると、二日酔い状態でピッチに戻ってきた選手のうち、15%は酒を飲んだ夜にプレーの質が上がったと主張し、26%はそれでもゴールを決めることができたと回答。
一方で、二日酔いにより21%の選手はゴールを外し、29%の選手は誤ったパスを出したことがあるという。そして59%の選手が、前日の夜に自分のプレー能力を過大評価していたことを認めている。
こうした状況で、イギリスの「キング・ウィリアム・イン」というパブは、選手の二日酔いを予防するため、地元のアマチュアクラブであるタンリー・アスレティックの選手の試合前日の出入りを禁じている。
パブのオーナーであるトム・ワトソン氏はこの施策について「このチームでは、ゴールを決めた数よりも我々がビールを注いだ数の方が多かったので、我々が戦術を変える番だと考えた。試合前夜に選手たちを出場禁止にするのは、我々が厳しい愛情を示す方法だ。ビールを断っているわけではありません。
近年、イギリス国内のパブは経営不振に陥ることが多く、苦境に立たされている。
そうした中で、「お得意様」である選手の飲酒を制限する施策は、経営的にも苦しい判断であることが推察される。それでも、心を鬼にして試合前日の「出禁」を言い渡す店主の陰には、フットボールへの深い愛が見え隠れしている。