2月1日。プロ野球界にとっての正月が今年もやってきた。
ベイスターズは“横浜反撃”のスローガンのもと、例年通り沖縄での春季キャンプをスタートさせた。

 宜野湾で行われる一軍キャンプメンバーは、ゴールデンルーキーの小園健太が抜擢されたが、大きなサプライズ抜擢はなかった印象だ。

 しかしキャッチャー陣を見渡すと、4年目キャッチャー・益子京右の名前が記されていた。益子は昨年のシーズン終了間際の10月23日のドラゴンズ戦で、8番スタメンで一軍デビューし、手術から復帰3戦目の東克樹を好リードで引っ張り8回無失点の快投を演出。バットでも4回の第2打席でレフト線間際にポトリと落とす初ヒットをマークし、初のお立ち台の場も経験した“持ってる”21歳である。

 2018年に強肩をウリに栃木・青藍泰斗高からドラフト5位で入団した益子は、1年目と2年目ともにファームでの出場は30試合程度にとどまりながらも、昨年はファームで主にマスクを被っていた山本祐大が一軍に帯同する機会が増えた関係もあり、益子の出番が倍増。
二軍で72試合出場と、キャッチャーとして貴重な経験を積むことができた。

 横須賀で行われた秋季トレーニングでも、トライアウトに向けて調整をしていた飯塚悟史や左腕のジョフレック・ディアスらのボールを右に左に打ち分け柵越えもマーク。コーチやチームメイトから「今がピークか?」と声が飛ぶほどの好調ぶりをアピールし、充実の秋を過ごした。

 一軍に生き残るには、打てるベテラン・伊藤光、フレーミングの鬼・戸柱恭孝、クリーニング手術から復帰をめざす嶺井博希、昨シーズンほぼ一軍に帯同した高城俊人、若手期待度No.1・山本との戦いに勝ち残る必要があるが、ここまではいい流れのまま一軍でのスタートが切れた。「ずっとここでプレーしていたい気持ちがあります!」とヒーローインタビューで宣言していた言葉を具現化すべく、“無類のマグロ好き"の益子が宜野湾の地でアピールを続けていく。

 取材・文・写真  /  萩原孝弘