2025年5月16日、中国のポータルサイト・捜狐に「中国アニメが日本を超えるためには何が足りないのか」と題した記事が掲載された。
記事は、「中国アニメ映画『ナタ 魔童の大暴れ(原題:哪吒之魔童鬧海)』は公開から3カ月半が経過しても、日々の興行収入でトップを維持している。
そして、「近年、アニメと古典神話を融合させた中国アニメ映画が続々と登場している。これに伴って関連商品の消費が急速に拡大した。『2025年閑魚グッズトレンドレポート』によれば、24年のグッズ消費は前年比で105%増加し、取引額は過去最高を記録したという。さらに、今年の第1四半期には、中国のグッズ取引額は日本の1.2倍に達し、最も活発な市場となっている」と説明した。
続けて、「では、文化の違いは両国のアニメ制作や市場にどう影響しているのか。市場規模、産業チェーンや商業化の成熟度といった観点から、両国のアニメ産業の現状はどのように比較できるのか。
記事は、「日本の二次元文化は戦後の荒廃から誕生した。手塚治虫氏の反戦思想や宮崎駿監督の環境保護の理念など、現実への深い思考が多くの名作に反映されている。一方、中国アニメは伝統にこだわって物語性を重視するあまり、哲学的な思考が不足しがちで、その結果、作品の多くが浅く幼稚に見えることがある。しかし、近年は高品質な作品が登場し、この傾向は次第に変わり始めている。実際、このような哲学的な要素の強化こそが、作品がますます多くの観客から強い支持を得ている要因の一つである」と論じた。
また、「産業生態の観点でも、中国と日本のアニメには大きな差がある。

一方で、「中国のグッズ経済はまだ初期段階にあり、ほとんどの中国アニメは興行収入に依存している」と指摘。「『ナタ 魔童の大暴れ』は実質的に中国発の超級作品となり、グッズ市場でも大成功を収めた。今後はさらに多くの中国アニメやゲームがこの成功例に続き、日本の二次元経済との格差を徐々に縮めていくことが期待される。技術面に関しては、中国アニメはすでに日本と同じスタートラインに立っているが、作画技術、特に漫画のコマ割りや演出力においてはまだ差がある。これは作画を担当するクリエイターの技量の差に起因している」と指摘した。
その上で、「それでは、どうすれば中国アニメが日本を完全に超えることができるのか。その鍵は3つある。1つ目は製造基盤だ。過去のデータによれば、現在、世界のアニメ関連商品の80%は『中国製』であり、そのうち3分の1以上は広東省東莞市で生産されている。この製造力は、中国アニメの関連商品をグローバル市場に送り出す原動力となる。
そして、「日本アニメ界ではベテラン作家の引退や他界が相次いでおり、世代交代の困難さがより一層浮き彫りになっている。さらに、ここ数年、新たな国民的ヒット作は生まれておらず、古い人気作に頼っている状態が続いているため、日本アニメ産業の将来には不安が残る。一方、中国は今まさに新世代が台頭する時期にあり、大胆な革新を進め、グローバルなアニメ市場において主導権を握る絶好の機会である。今後5年間、中国アニメは伝統文化を作品に取り入れることで、差別化を図ることが求められる。同時に、東洋哲学的な深みを加えることで、単なる娯楽作品から名作へと進化させる必要がある。これは、世界の観客の共感を得るために不可欠な要素である」とまとめた。