中国メディアの金融界は21日、電気自動車(EV)向け次世代電池の全固体電池が間もなく量産に入るとする記事を掲載した。
記事はまず、中国の車載電池大手の国軒高科(ゴーション・ハイテク)がこのほど、全固体電池の0.2GWhのパイロットラインの完成を発表するとともに、準固体電池「G垣」など六つの新製品を発表したことを取り上げた。
記事はその上で、中国では寧徳時代新能源科技(CATL)や孚能科技(ファラシス・エナジー)、ゴーションなどが「半固体過渡+全固体突破」戦略を通じて技術の研究と開発や生産能力の配置、応用と拡大発展で大きな進歩を遂げ、次世代バッテリー技術の競争において世界的な変革をリードすることが期待されていると伝えた。
また、海外での例として、米クアンタムスケープが2024年にフォルクスワーゲンに全固体電池のサンプル第1弾を納入し、26年の量産を計画していることや、トヨタが25年に硫化物全固体電池を搭載したハイブリッドモデルをリリースし、航続距離を50%引き上げ、30年の全固体電池の商業化を目指していることを紹介した。
記事は「これと同時に、(中国は)政策面でも引き続き産業レベルでの革新と発展を支えていく」とし、工業情報化部の23年の「新エネルギー自動車産業発展計画(2023-2035)」が初めて全固体電池を「次世代動力電池の核心技術」と明確化し、25年までの実験室における技術的突破の達成を求めたことや、国家発展改革委員会が24年に全固体電池を第14次五カ年計画の新材料特別プロジェクトに組み入れて研究開発補助金と税制優遇措置を提供し、業界や市場で主導的な地位を占め大きな影響力と競争上の優位性を持つ企業の単一プロジェクトに最大2億元(約40億円)を助成すること、25年の「中国製造2025」の改訂版で「全固体電池産業化加速計画」が打ち出され、30年までに量産コストを液体電池の1.5倍に引き下げ、ハイエンドモデルへの浸透率を30%にする目標が掲げられたことを紹介した。
記事は、モルガン・スタンレーの見通しによると、世界の全固体電池市場は30年までに年平均45%成長して1200億ドル(約17兆2800億円)規模に達し、中国が市場シェアの40%を占めることや、国内機関の見通しによると、全固体電池のコストが27年に1kWh当たり100ドル(約1万4400円)まで下がり、ハイエンドモデルへの浸透率は15%を超える可能性があることも紹介した。
そして、光大証券によると、A株市場において25年5月時点で全固体電池セクターの平均PERが上海/深セン300指数の平均を上回っていて市場の高い成長期待を反映しているとし、政策がもたらす「配当」と技術の突破という両輪駆動の下、全固体電池産業は「期待実現」段階に入り、「技術的リーダーシップ+顧客ひも付け」という二重の「城壁の周囲の堀」を持つ企業が大きな利益を得られる可能性があり、短期的にはパイロットラインを確立し「技術検証期間中に評価弾力性が大きい」企業に注目し、長期的には材料システム(電解質/正極・負極)のメーカーを追跡することができると伝えた。(翻訳・編集/柳川)