2025年6月26日、台湾メディア・民視新聞網は、中国の電気自動車(EV)産業における過剰な価格競争が台湾に波及する可能性について有識者の見解を紹介する記事を掲載した。

記事は、中国のEV産業が激しい価格競争に陥り、多くの自動車メーカーが悲鳴を上げていると紹介。

この状況について、台湾の経済誌・財信伝媒の謝金河(シエ・ジンハー)董事長が25日にフェイスブック上で、半導体産業の上流にも影響が及ぶ可能性があると指摘したことを伝えた。

記事によると、謝氏は先ごろ自動車価格の30%値下げを発表した中国のEV大手BYDに対し、吉利汽車や長城汽車のトップから「恒大集団の二の舞いになる」との批判が出ていることに言及。BYDが引き起こした価格競争が同業他社に死活問題の圧力を与えているとの見解を示した。

そして、EV業界の価格競争はEV向けの半導体に用いられる炭化ケイ素や窒化ガリウムといった原料にまで影響を及ぼしており、一時期世界規模で激しい投資競争が繰り広げられたことのツケが回ってきていると指摘。炭化ケイ素ウエハーの最大手で米国政府も補助金を支給していた米Wolfspeedが経営破綻に陥ったことを挙げ、「Wolfspeedの倒産で台湾の同業者が恩恵を受ける」という台湾メディアの予測とは裏腹に、すでに業界全体が荒涼とした状況の中で台湾メーカーも苦戦を強いられていると紹介した。

謝氏は、中国のEV産業による価格競争が今後、EV産業チェーンの上流、中流、下流の全てに衝撃を与える可能性があるとも指摘した。(編集・翻訳/川尻)

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