2025年7月7日、中国のポータルサイト・捜狐に「なぜ『名探偵コナン』は女性にこれほど人気なのか?」と題した記事が掲載された。
記事はまず、「もしあなたが1990年代以降に生まれた世代ならば、一度は『名探偵コナン』に触れたことがあるだろう。
続けて、「多くの人は『名探偵コナン』を一本調子の推理作品と捉えがちだ。しかし実際は、推理、恋愛、アクション、人間ドラマ、成長、そしてアイドル的人気までを内包する『総合エンタメ作品』である。例えば、工藤新一(くどうしんいち)は、頭脳明晰(めいせき)で正義感にあふれた高校生探偵であり、誠実で優しい一面が多くのファンの心を掴んでいる。赤井秀一(あかいしゅういち)は無口でクールな狙撃手。怪盗キッドは白いタキシードとシルクハットを身にまとい、余裕たっぷりの振る舞いでを魅了する」と論じた。
また、「服部平次(はっとりへいじ)は熱血でありながら、バイクや剣術など多才さも併せ持つ理想の彼氏像そのもの。そして安室透(あむろとおる)に至っては、カフェ店員、公安、黒ずくめの組織への潜入者という三重スパイ設定に加え、そのミステリアスな魅力で女性ファンの熱狂的支持を受けている。女性視聴者の多くは、事件の真相ではなく『今日は誰が登場したか』を楽しみにしていると言っても過言ではないのだ」と加えた。
さらに、「同作が評価される理由は、女性キャラクターの描かれ方にもある。
加えて、「『名探偵コナン』は恋愛要素にも力を入れている。新一と蘭や平次と和葉の幼なじみの関係は、互いに好意を抱きながらも素直になれない、まさに王道ラブコメディーの構図である。京極真(きょうごくまこと)と鈴木園子(すずきそのこ)の組み合わせは、ストイックな格闘家と自由奔放な財閥令嬢というギャップが魅力であり、その恋模様には独特の味わいがある。これらの恋愛模様は物語の進行と共に少しずつ進展し、告白や誤解、再会といったエピソードを通じてファンの心を掴んで離さない」と述べた。
また、「同作は単に事件を解決するだけの物語ではない。多くのエピソードにおいて、家族・友情・恋愛におけるすれ違いと和解といった人間味あふれるテーマが描かれており、こうした情感の深さが女性視聴者の心を打つ。たとえ殺人事件の発生する舞台であっても、物語は決して重苦しくなく、明るく清潔感のある演出が視聴者の心理的な負担を和らげている点も大きい。家族や友人、恋人と一緒に安心して見られるアニメというのもポイントだ」とした。
記事は、「同作が長年にわたり人気を維持している背景には、常に新鮮さを保ち続ける工夫がある。定期的に新しいキャラクターや新組織を投入したり、テレビアニメや劇場版のオリジナルエピソード、ゲーム、漫画など、あらゆるメディアを駆使していることも作品の生命力を保つ大きな要因である。また、時代とともに描かれる事件も進化しており、現実社会の問題を題材にしたストーリーも数多く存在する。こうした社会性のあるエピソードが、作品を単なるフィクションではなく、現代社会のもう一つの鏡として位置づける役割を果たしている」と説明した。
そして、「何より『名探偵コナン』の土台にあるのは本格的な推理の楽しさである。事件の動機やトリックが綿密に設計されており、繰り返し視聴してもなお新しい発見がある」とし、総じて「『名探偵コナン』は『女性にこびた作品』ではなく、『誰もが楽しめる作品』でありながら、その中で自然に女性視聴者の心を掴んできたのだ。それは恋愛ドラマとしても成立し、推理作品としても秀逸であり、時に涙し、時に笑える人間ドラマとしても一級品である。これらがすべてが合わさり、30年たってもなお崩れない完成度と世界観を誇る作品であるからこそ、『名探偵コナン』は、単なる殺人事件の謎解きにとどまらず、特別な物語として見続けたくなる理由を生み出しているのだ」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)