自動車業界情報を扱う中国メディアの汽車行業関注はこのほど、日産自動車と中国の東風汽車が広東省広州市に完成車や自動車部品の輸出に特化した合弁会社を設立する話題を紹介した。すでに行政関連の手続き段階に入っている。

重慶市市場監督管理局は7月31日、日産(中国)投資と東風汽車集団による合弁企業の設立計画を公示した。公示期間は同日から2025年8月9日まで。公示は中国の独占禁止法の定めによるものだ。公示内容によれば、新会社の設立場所は広東省広州市で、完成車や自動車部品、自動車用品の輸出に特化した業務を行う。出資比率は日産側が60%で、東風側が40%だ。東風汽車集団の発表によれば、合弁会社の登録資本金は100億元(約2100億円)だ。

日産自動車の2025年度第1四半期(2025年4月~6月)の売上高は前年同期比9.7%減の2兆7069億円だった。さらに前年同期には10億円の営業利益を出していたが、25年第1四半期には791億円の営業損失を出した。

日産自動車は巻き返し策の一つとして、経費削減による経営のスリム化を図る「Re:Nissan計画」を発表した。同社は一方で、世界的な生産体制を再構築しており、価格と性能を兼ね備えた中国で作られた電気自動車(EV)による海外市場の開拓を経営再建の加速につなげようとしている。中国から東南アジア、中東、中南米などへのEV輸出の開始は26年を計画している。

今回の日産と東風の合弁工場設立は、日系自動車メーカーのグローバル化と中国市場との連携を強化する重要な一歩であり、日本の自動車産業がより柔軟なグローバル統合モデルへ移行しつつあることの反映と見なされている。

(翻訳・編集/如月隼人)

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