2025年8月5日、台湾メディア・中時新聞網は、相互関税の税率をめぐって米国と台湾の関係が「異常に緊張している」とする米国メディアの報道内容を紹介した。
記事は、米国が先日、台湾への相互関税を当初の32%より引き下げる一方で近隣の日本や韓国の15%よりも高い20%とすることを発表し、議論を呼んだと紹介。
記事によると、同紙は米台関係の冷え込みについて、頼総統がラテンアメリカ歴訪前にニューヨークやダラスに立ち寄る計画を、米国政府の要求によってキャンセルしていたこと、関税をめぐって数週間にわたり行われてきた交渉で台湾が日本や韓国のように米国との貿易合意をまとめられなかったことを紹介。「立ち寄り」計画についてはかねてより中国政府からの強い反発があったことを伝えており、米国が中国に配慮した可能性があることを示唆した。
また、交渉が難航している要因については「台湾からの大規模な投資が日韓に比べて少ない」というアナリストの見方を紹介したほか、昨年末より米国が中国に代わって台湾最大の輸出相手国になっていることを挙げ、米国側がこの状況を利用して交渉で優位に立ち、台湾に厳しい条件を突き付けている可能性を示した。
同紙はさらに、台湾政府が相互関税以上に半導体関税による経済への打撃を警戒し、米国との貿易交渉の重点に据えていると指摘。一方で、半導体は人工知能(AI)サーバーなどの電子部品の形で米国に輸入されており、そのサプライチェーンが非常に複雑で専門化しているため、業界全体に関税を課すことは難しいという専門家の認識も紹介している。これは、台湾側にとって「どのような形、範囲で半導体関税が課されるか予測が難しい」ということを意味するようだ。
そして、台湾の行政院は、米国による半導体関税がどのような決定内容に至るかにかかわらず、米国側から優遇措置を得るための努力をする姿勢を示しているとも伝えた。(編集・翻訳/川尻)