中国メディアの環球時報は14日、「中国が世界初の電化国家になる理由」とする豪ABCの記事を紹介した。
記事はまず、中国が4月の1カ月だけでオーストラリアがこれまでに設置した太陽光発電設備の総量を上回る規模を設置したことに触れ、「これは、オーストラリアの太陽光発電における実績の乏しさを語るものではない。
その上で、エネルギーシンクタンク、エンバーの首席中国アナリスト、ムイー・ヤン氏のコメントとして「世界全体が化石燃料から脱却しようとしていることは、新興のクリーンテクノロジー分野を中心に経済を再構築していることを意味する。新たな方向性が定まれば、その勢いは持続的なものとなる。中国は、クリーンエネルギーの未来へと向かう方向性を定めたと言える。新興分野や技術が成長するためには、ある程度の保護が必要であることは誰もが理解している。赤ちゃんが歩き方を学ぶのを手伝うのと同じで、最初はサポートが必要だ。しかし、中国の政策支援の背後にある論理は常に明確だ。この支援は無期限に拡大されるべきものではない。補助金ではなく、健全な計画、継続的な取り組み、そして的を絞った支援が重要なのだ」と伝えた。
記事は、中国について「その比類のない規模の経済により、電化の劇的な加速は世界中の電化コストの削減にもつながり、中国をクリーンテクノロジーにおける世界的リーダーにした。オーストラリアの道路では、中国製の電気自動車が主流になりつつある。これはオーストラリアの家庭に設置されているソーラーパネルやバッテリーにも表れている」とし、ヤン氏によると、中国は、世界各国が移行に乗り出すためのハードルを下げ、他の多くの国が移行に乗り出すのを容易にしたと伝えた。
記事は「中国の再生可能エネルギーの拡大は、米国の方向性とは全く異なるという点でも注目に値する」とし、「米国は、それがもたらすであろう気候被害を無視して、自国の需要を満たすのに十分すぎるほどの化石燃料を生産しているが、中国はそうではない。中国が電化に軸足を移した理由の一つは、輸入化石燃料への依存から脱却するためだ」とし、ヤン氏によると、そこには深い戦略的思考がある。それは環境義務だけの問題ではなく、経済的利益だけでは完全に説明できない。エネルギー安全保障は、経済活動の円滑な運営を支える上で極めて重要だ。中国は、従来の化石燃料による成長モデルは持続不可能だと考えている。そして、長期的な繁栄を維持することがますます困難になりつつあると伝えた。
記事はまた、オーストラリア国立大学クロフォード公共政策大学院気候・エネルギー政策センターの研究員、ジョリット・ゴセンス氏によると、中国は石炭は非常に豊富だが、天然ガスと石油は非常に乏しいと言われている。しかし電化によって状況は変わりつつある。今の北京は、片側4車線の交差点でさえもとても静かだと伝えた。
記事は「中国の猛烈な電化は、世界の他の国々が追随する道を切り開くものだ」とし、専門家によると、中国がそれを10年という短期間で成し遂げたとしたら、それは他のどの国も成し遂げていない偉業と言える。オーストラリアを含む他の国々にも希望が湧き、そこから学ぶべき教訓があると伝えた。(翻訳・編集/柳川)