2025年8月20日、中国メディアの環球時報は、中国が製薬大国になりつつあるとするシンガポールメディアの報道を紹介した。
記事は、シンガポール紙ザ・ストレーツ・タイムズの19日付の記事を紹介。
また、中国が進める医薬分野のイノベーションは、米国の得意分野である最先端治療法の開発で競合するのではなく、製造速度の向上とコスト削減に重点を置くものであり、世界を変えるものではないかもしれないが、何百万人もの日常を支える治療法の確立につながると評した。
そして、象徴的な企業として医薬品研究開発のワンストップサービスを提供する「薬明康徳」を挙げ、今や米国のバイオテクノロジー大手は、薬明康徳のような中国企業を活用することによって、研究開発により多くの資金を投入できているのだと伝えた。
その上で、中国のバイオテクノロジー産業の競争力は、政府の強力な支援や科学者の増加、巨大な患者人口、効率的な医療システム、そして外国企業との連携によって支えられていると指摘。国家薬品監督管理局の制度改革によって臨床試験の承認待ち時間が短縮され、その実施コストは米国より約30%安くなったとし、低コストを維持しつつ生産規模を拡大する中国の能力に、もはや西側企業は太刀打ちできない状態になっていると分析した。
さらに、中国はバイオテクノロジー産業を世界におけるソフトパワー拡大の一環と位置付けており、特に東南アジア諸国への医薬品輸出を増加させていると紹介した。
文章は、米国内では中国のバイオ産業を「脅威」と見る向きがあると伝えつつ、米国民の約80%が処方薬の価格を「高過ぎる」と感じている現状があると指摘。「国の安全保障を理由に、瀕死の母親を救える安価ながんワクチンを拒否する米国人は本当にいるだろうか」と疑問を提起した上で、医療分野の競争は人々を健康で長生きさせるためのものであり、中国がより早く安価な方法を見つけたのであれば、米国人は政治的な理由でその恩恵から取り残されるべきではないと論じた。(編集・翻訳/川尻)