ドイツメディアのドイチェ・ヴェレ(中国語版)は26日、「中国製品はもう使わない!」と題し、北海の洋上風力発電プロジェクトを進めるドイツ企業が中国企業との契約を破棄する方針を示したことを伝えた。

記事によると、北海に大型洋上風力発電機を建設する「ウォーターカント(Waterkant)」プロジェクトを進めているドイツの投資会社ルクスカラ(Luxcara)は25日、中国企業の明陽智能能源集団から風力発電機を調達する契約をキャンセルする方針であると発表した。

昨年発表された契約では、ウォーターカントの風力発電機は明陽智能が製造し、総設備容量は30万キロワット、約40万世帯分の電力需要に相当する予定だった。しかしルクスカラはこれを取りやめ、発電機19基の製造をシーメンス・ガメサに割り当てると発表した。近隣の別の風力発電所でもシーメンス・ガメサ製の発電機を使用しているため、今回の変更は「運営効率の向上」のためだとしている。

ルクスカラは「政治的な要素が決定的要因ではないが、(結果として)政治的な目標にも合致するものだ」とも説明しており、「サプライチェーンや技術依存、安全保障面に関わる課題も解決できるため、副次的にプラスの効果がある」としている。

記事によると、昨年、ルクスカラと明陽智能の契約が明らかになると、欧州の風力発電機メーカーから批判が相次いだ。中国企業の参入が不公平な競争をもたらすだけでなく、欧州の重要インフラに対する中国企業の支配力を高め、欧州のエネルギー安全保障を脅かす可能性がある、というのがその理由だった。当時のロバート・ハーベック経済相も審査を行うと発表した。さらに、今年初めにはドイツ国防省が研究報告書を公表し、中国が発電所の重要部品を利用してスパイ活動や経済戦争を仕掛ける可能性を警告した。

記事は、「近年、中国の新エネルギー発電設備メーカーは世界市場での支配的地位を固めており、これが欧州各国で安全面への懸念を引き起こしている」と説明。「今年春には、中国製のソーラーパネル用インバータモジュールに無線通信装置が内蔵されていることが発覚した。当時はスペインで大規模停電が発生した直後であり、多くの欧州人が、中国製の太陽光・風力発電設備の欧州電力網への占有率が高まることで、電力網の安全かつ安定した運用が脅かされるのではないかと懸念した」と伝えた。

一方で、新たな供給者であるシーメンス・ガメサは財務問題に直面しているとも指摘。

「ルクスカラと正式な契約は締結しておらず、詳細は明かされていない。同社は近年、財務状況が悪化しており、その一因として陸上風力発電機の品質問題によりプロジェクトが遅延し、巨額の修理費用が発生していることが挙げられる」とも伝えている。(翻訳・編集/北田)

編集部おすすめ