韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領の日本訪問と石破茂首相との日韓首脳会談について、左派系の韓国紙は社説で「物足りなさを拭えない」と論評した。その理由としては「韓国にとって重要な『歴史認識』と『対北朝鮮政策』のいずれにおいても日本に譲歩しすぎたのではないか」を挙げた。
ハンギョレ新聞は社説で「李大統領が日本と約束した内容にそのまま従うことになれば、今後、韓国独自の『戦略的自律性』を確保するのは困難になる」と疑問視。「李大統領は今回の訪問を終えた後、日本との関係改善を通じて何を得て何を失うことになるのか、冷静に振り返ってほしい」と注文を付けた。
李大統領は8月23日午後、石破首相との韓日首脳会談を終えた後、「さまざまな分野で、お互いに有益かつ有用な方向で協力できる最適なパートナー」だとした上で、「揺るぎない韓日、韓米日協力が何より重要だ」と述べた。
両首脳は、その後公開した「共同プレスリリース」を通じて、▽水素・人工知能(AI)などの未来産業分野における協力▽少子高齢化や首都圏への人口集中など社会問題に関する政策の経験共有▽人的交流の拡大など、さまざまな分野での協力を強化―していくことで意見がまとまった。
日本の反応は、まずは好意的だった。石破首相は「今回の首脳会談を契機として新たな力を得て、さらに発展することを期待している」とする同意の意を示し、日本メディアも同様に李大統領の訪問を肯定的に報じた。
社説は「同時に指摘しなければならない大きな課題も多く目に付く」と論難。「共同プレスリリースに含まれた『1965年の国交正常化以来、これまで築かれてきた韓日関係の基盤』に立ち、両国関係を発展させていくという表現は、2018年10月以降、韓国最高裁(大法院)が下した強制動員賠償判決が『国際法違反』だとする点を強調しようとして日本政府が使い続けてきた表現だ」とした。
そして「韓日請求権協定が韓日関係の基盤だとする意味を含んでいる」と危惧。「両首脳がこれについて『意見が一致した』とすれば、あらゆる請求権問題が『完全かつ最終的に解決された』という日本側の見解に李大統領が同意したという、深刻な誤解を招きかねない」との見方を示した。
朝鮮半島問題に関して両首脳は「韓米日協力を土台に国連安保理の対北朝鮮制裁決議が忠実に履行」されるようにすると明らかにした。
社説は「これは寧辺(ヨンビョン)の核施設の解体と引き換えに、安保理制裁を一部解除するという2019年2月の『ハノイ・ディール』と今後起こる可能性のある米国のトランプ大統領の北朝鮮へのアプローチに反対するという意味だと解せる」と言及。