2025年9月4日、シンガポール華字メディアの聯合早報は中国政府が電気自動車(EV)業界の過度な価格競争に是正を図っている現状を分析する記事を掲載した。
記事は初めに「EVの分野で世界をリードしている中国では、過去5カ月間のバッテリー駆動車とプラグインハイブリッド車の販売台数が全販売台数の半分を超え、ガソリン車の需要が減少した。
続けて「自動車メーカーの投資を抑えるのは難しい。7月のデータでは政府の警告の影響で減速が見られるものの、24年の同期と比較すると最初の7カ月間で21.7%増加し、4年連続の増加を示した。過剰生産と価格競争は中国経済にとって長年の課題だ。債務をきっかけとした投資が政府主導の一連のプロジェクトに流れ込んだ結果、企業や工場が限りのある国内市場で激しい競争を繰り広げている」と述べた上で、「自動車業界の『内向化』は中国の投資主導型成長戦略の代償を表している。例えば、7月の製造設備投資のペースが少しでも鈍くなれば、経済全体のパフォーマンスを低下させるだろう。EVはスマートフォンやノートパソコンのように、製造量が増えれば増えるほどコストが安くなることから、メーカー側は市場シェアの拡大のために工場規模を拡大し、販売価格をどんどん下げようと考える」と指摘した。
さらに「当局は自動車業界全体の生産能力の管理で困難に直面している。その原因として、民間企業のEVやハイブリッド車の急増分の相殺のための生産縮小を国有企業に拒否されていることが挙げられる。中央政府とつながりがある国有企業の大手自動車メーカー4社(一汽集団、東風汽車、長安汽車、広汽集団)はガソリン車の生産を主としており、内燃機関には強いものの、EVではBYDやテスラ、シャオミには遠く及ばない。
記事は最後に「自動車メーカーと部品のサプライヤーが支払い不能になった場合、銀行にも巨額損失が及ぶ可能性がある。自動車メーカーは他社が損失を補填し続けられるよう保証する立場にあり、銀行は当局からクリーンエネルギー技術への投資を義務付けられている。部品メーカーはメーカーの数カ月にわたる支払い遅延を受け入れつつも経営維持のために銀行融資に頼っており、事業立ち上げで融資を利用した多くの地方自治体は企業の救済資金を提供するためにさらに借り入れを必要としている」と述べた。(翻訳・編集/原邦之)