雲南省昆明市の斗南街道(エリア)から出荷されている「花梨木」と名付けられたコウシンバラが最近、中国のソーシャルコマースプラットフォーム「小紅書」で話題をさらっている。これは雲南省農業科学院花卉研究所が独自に研究開発した新品種で、花びらが薄く繊細で、色は独特なミルクイエロー、「中国テイスト」のコウシンバラと言われている。

中国新聞網が伝えた。

雲南省農業科学院花卉研究所の研究者・蔡艶飛(ツァイ・イエンフェイ)氏は、「『花梨木』は昨年9月に中国昆明国際花卉展で初披露され、花卉業界の関係者の注目を集めた。試験的に生産した切り花は今年8月に出荷されるようになって以降、供給が需要に追い付かないほど、爆発的人気となっている」と説明する。

「アジアの花の都」と呼ばれている昆明斗南エリアには、アジア最大の切り花交易市場があり、中国の切り花のうち10本に7本はそこから出荷されている。2024年に斗南で取引された花卉は141億7600万本で、取引額は115億7400万元(約2372億6700万円)に達した。そして、日本やシンガポール、タイ、ベトナム、ロシアを含む50カ国・地域以上に輸出された。

蔡氏によると、「これまで長い間、中国国内市場で取引されていたコウシンバラの品種のほとんどが輸入に依存していた。花農家は、高い費用を払って種や苗を購入したり、特許のライセンス料を払ったりしなければならなかった。そのボトルネックとなっていた問題を解決するべく、雲南省農業科学院は長期にわたって研究開発を続けてきた。私は2022年から、コウシンバラの育種に関わるようになった」という。

そして、「中国の美的理念にマッチしたコウシンバラの品種を育成したかった。中国の伝統文化は、写意、上品、空白の部分を敢えて設ける『留白』を重視している。

そのため、コウシンバラは従来中央の花弁が開く『カップ咲き』の形が多いものの、私たちのチームはそれを打破して、単弁、半重弁、牡丹型といった多様な品種を研究開発した。色を見ると、ミルクイエローや淡いピンク、淡い紫色といった彩度が低い色を選び、香りは、茶の香りやフルーツの香りといった東洋で好まれる香りを織り交ぜ、市場の空白を埋めた」とする。

蔡氏率いるチームは2024年に、76種類の「中国テイスト」シリーズのコウシンバラの新品種と優良株を初めて打ち出し、市場で人気を集めた。そして、今年5月には、さらに1000種類以上の「中国テイスト」のコウシンバラの切り花と優良株が打ち出された。このように新品種の数は勢いよく増えている。

雲南省で育成された新品種のコウシンバラが国内外で人気に―中国

蔡氏は、「育種は花卉産業のピラミッドの最上位に位置し、新品種を掌握した人が発言権を持つ。育種を加速させるために、当チームはスマート化温室を設置し、一年を通じて育種ができるようになった」と説明する。

中国は世界最大の切り花消費市場の一つで、「中国テイスト」シリーズは中国人の美的理念にマッチしているため、一瞬で多くの人の心わしづかみにした。さらに、今年打ち出された「中国テイスト」のコウシンバラの新品種のうち、28種類が、ランスのバラ育種会社メイアン・インターナショナル社に選出され、フランスやケニアで栽培が試験的に実施されることになっている。優良品種は最も早くて26年4月に市場に出荷されるとみられている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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