2025年9月28日、中国メディアの観察者網は、中国企業が欧州での電気自動車(EV)用最先端電池工場建設に労働者数千人を派遣したと英メディアが報じた内容を紹介した上で、反論を展開した。
記事は、CATL(寧徳時代)をはじめとする中国企業が、欧州の自動車産業の再興に不可欠な最先端のEVバッテリー工場を建設するため、数千人規模の労働者を欧州に派遣しており、CATLだけでもスペインの新工場に2000人の従業員を派遣する計画だと英メディアが報じたことを紹介した。
そして、この中国企業の大規模な人員派遣について英メディアが、中国のアフリカにおけるインフラ建設と同じ手法であり「欧州がEV電池の技術と専門知識において、いかに中国に依存しているかを浮き彫りにするものだ」と批判的に報じていると主張。「中国企業は知的財産を厳重に保護し、現地の労働者や企業と産業上の機密を共有することに消極的だ」とも評したことも伝えている。
記事は、英メディアの姿勢を「悪意をもってあおり立てている」とした上で長文による反論を展開。まず、CATLが拠点を設けるアラゴン州の副知事が「CATLの進出は、地域の自動車産業の未来を保障し、その基盤を築くものだ」と熱烈歓迎していること、スペイン政府高官が「EV電池において、中国は先進国だ。我々は彼らの投資を望んでおり、彼らと共にエコシステムを構築したい」と中国との協力に肯定的な姿勢を示したことを紹介した。
さらに、米国がCATLを「中国軍事関連企業リスト」に追加したり、スペインに対し「中国との緊密な関係は自らの喉をかき切るようなものだ」と警告したりする中でも、スペイン政府は中国との「良好な貿易関係を拡大したい」と考えていると主張した。
また、欧州は現状で中国に頼らざるを得ない状況にあることも指摘。かつて「欧州の希望」とされたスウェーデンの電池大手ノースボルトが経営破綻し、今年4月にはイベリア半島で大規模停電が発生したことで、欧州のエネルギー政策と電力網の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈したことに触れ、スペインの専門家からも「電力網の安定化のために、中国の蓄電技術が必要だ」という声が上がっていることを伝えた。
記事は、英メディアが示した「技術の囲い込み」に対する懸念について、CATL欧州地区の総経理が「欧州の小規模で技術的に遅れた電池メーカーとも協力し、彼らの事業拡大を助ける用意がある」と協力的な姿勢を見せていることを併せて紹介した。(編集・翻訳/川尻)