中国メディアの参考消息によると、香港英字メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポストはこのほど、中国航空宇宙産業の新たな製造モデルについて取り上げ、「中国の科学者らは、同国の航空宇宙産業がゲームチェンジャーとなるような製造革命を経験しており、ロケットや衛星を自動車と同じくらい効率的に生産できるようになる可能性があると主張している」と報じた。

記事によると、この新しい方式は「最終組立プル」と呼ばれる。

自動車業界で活用されている「リーン生産方式」の原則に着想を得たもので、一貫した品質や低コストだけでなく、高い適応性を実現することも目指している。

軌道打ち上げによる積載量は2045年までに年間17万トンに達すると予測されており、研究者らは、拡張可能な宇宙製造を習得できる国が優位に立つことになると主張している。

航空宇宙産業における製造は従来、「プッシュ型」モデルによって進められてきた。打ち上げ予測とスケジュールに基づいて部品を製造するもので、その結果として、遅延や在庫の積み上がりが発生することも多々あった。「プル型」モデルはそれを根本から覆すもので、最終組立工程では、需要予測に基づいて部品を必要な量だけサプライヤーから引き取る。トヨタは20世紀半ばにこの方式を先駆的に導入し、無駄を最小限に抑えて効率性を向上させ、世界的なリーン生産方式の基盤となった。

中国の航空宇宙産業は今、ロケットと衛星の製造に同様の手法を適用している。サプライチェーンの各段階は、下流の段階から信号が送られた場合にのみ稼働する。中国航天科技集団(CASC)の最高情報責任者である王国慶(ワン・グオチン)氏は「これは既存の製造モデルの体系的かつ破壊的な変革を意味する」と7月に刊行された機械工学ジャーナルに掲載された論文でこう述べた。

過去数十年間、ロケットと衛星は一つ一つ手作業で作られ、それぞれが特注品だった。しかし、衛星群や再利用可能なロケットなどへの需要の高まりは、その職人技によるモデルを凌駕するようになった。

王氏とその同僚らは、世界的な宇宙開発競争は特注品を作ることから複数のモデルを信頼性高く並行して作ることに重点が移ったと述べている。

今は、高頻度の打ち上げと巨大な衛星群によって拡張可能で反復可能かつ柔軟な製造が求められる「マスカスタマイゼーションの時代」だ。

米航空宇宙会社スペースXはスターリンクを通じて7000基を超える衛星を軌道上に打ち上げ、工業化生産の価値を実証している。王氏によると、一企業が主導する米国とは異なり、中国はよりネットワーク化されたモデルを採用し、国家戦略の中で国有企業、民間企業、研究機関を統合している。これらの改革は、中国の打ち上げペースが加速する中で効力を発揮しつつある。(翻訳・編集/柳川)

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