天津大学の封偉教授が率いる研究チームはこのほど、塩アルカリ土壌に生息する植物の「塩吸収-塩分泌」メカニズムからヒントを得て、高効率の光熱変換性能と優れた力学特性を兼ね備えた分子太陽熱(MOST)繊維素材の開発に成功しました。この研究に関する論文は材料科学を取り扱っている学術雑誌『アドバンスド・マテリアルズ』に発表されました。
研究チームは塩アルカリ土壌に生息する植物「エダハリハマアカザ」からヒントを得ました。この種の耐塩性植物は「膨潤(ぼうじゅん)して塩分を吸収し、収縮して塩を排出・結晶化する」という動的循環を通じて過酷な環境に適応しています。
研究チームは熱可塑性ポリウレタンから作られた中空(繊維内部に空洞がある構造)のエアロゲル繊維を基材とし、それを特殊なアゾベンゼン/クロロホルム溶液に漬け込みました。繊維はまず溶液を十分に吸収して膨らみ、その後乾燥すると、アゾベンゼン分子が内部から押し出され、繊維表面に均一で緻密な結晶の「上着」、すなわちアゾベンゼン単結晶層を形成します。これにより、繊維内部の分子構造がより緊密になるだけでなく、独特な光学特性と力学特性も備えるようになります。
実験によると、この新たな機能素材は優れた熱管理能力を示しています。420nm(ナノメートル)の青色光を照射すると70秒で温度が25.5度上昇し、マイナス20度の低温環境下でも模擬日光を照射すると50秒で21.2度上昇することが確認されました。さらに特筆すべきは、この素材は耐久性能が極めて優れており、従来のMOST素材が持つ脱落しやすく、使用期間が短いという問題を克服した点です。(提供/CRI)