香港大学医学院の研究チームは10月13日、高弾性のリン酸カルシウムを利用した新たな「天然骨模倣ナノ素材」を発表しました。この素材は従来型の骨欠損手術で使う材料の代替として、手術時間を大幅に短縮し、術後の骨の癒合を速めることができるとのことです。

研究チームによると、現在の骨欠損の解決策は、一般的に自家骨(患者自身の骨)あるいは同種異体骨(他人から寄贈された骨)の移植ですが、この2種類の方法にはいずれも、材料不足、免疫拒絶、外因性感染などの問題が存在します。一方で、人工骨の移植ならば一部の問題は解決できますが、使用する材料の耐圧性と弾性は人本来の骨に及びません。

香港大学医学院臨床医学学院整形および外傷外科学部の楊偉国教授が率いる研究チームが開発した「ナノ模倣天然骨」は、これらの従来の手法の課題を補うものです。研究チームはナノクラスターアンカー技術(ナノサイズの粒子を素材内部に固定することで特性を強化する技術)を用いて、高弾性、高靭性(じんせい)、高強度の生体模倣骨材料の開発に成功しました。この素材は天然骨の成分と力学的性質との類似度が90%にも達します。また、極めて高い安全性と生体適合性を備えるため、患者の快適性と運動能力を著しく高められるとのことです。(提供/CRI)

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