2025年10月15日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、フランスがレアアースのリサイクルと精製を加速させ、中国への依存低下を目指していると報じた。

記事は、中国が戦略資源であるレアアースの輸出に対し新たな制限を発表したことを紹介し、世界のレアアース埋蔵量の約半分、精製量の約90%が中国に集中する中、フランスをはじめとする欧州諸国が中国への高い依存状態からの脱却を改めて急務と認識していると伝えた。

そして、EUが2023年に採択した「重要原材料法(CRMA)」に基づき、30年までに域内で自力による採掘を10%以上、加工を40%以上、リサイクルを25%以上とする目標を設定し、今年3月には総額225億ユーロの補助金計画に含まれる47の戦略的プロジェクトリストを定めたと紹介。フランスからはリサイクルと精製のプロジェクト2件が選出されたとして、その内容を伝えている。

まず、1つ目のプロジェクトはグルノーブルのスタートアップ企業MagREEsourceによるリサイクルプロジェクトで、同社が廃磁石を粉砕して新たな磁石にするリサイクル新技術を開発し、28年までに年間生産能力1000トンの達成を目指していると説明。現在欧州でリサイクルされている廃磁石が1%未満である現状を鑑み、フランス政府が磁石のリサイクルを戦略的な産業と見なしていると解説した。

また、2つ目のプロジェクトとしてCaremag社がフランス南西部ラックに建設している「ヨーロッパ初のレアアース回収精製工場」を挙げ、2026年末の稼働開始後は年間約2000トンの永久磁石をリサイクルし、約800トンの酸化ネオジム・酸化プラセオジム、および590トンの酸化ジスプロシウム・酸化テルビウムを精錬できると紹介。Caremagの目標は、世界の重レアアース需要の約15%を満たすとし、自動車メーカーのステランティス(Stellantis)などがパートナーとなっているほか、日本企業とも生産契約を締結していると伝えた。

記事はこのほか、フランス国内ではベルギーの化学メーカー・ソルベイも今年4月にフランス西部ラ・ロシェルの工場でレアアース回収生産ラインを稼働させており、酸化ネオジムと酸化プラセオジムの生産を計画していると紹介。フランス政府関係者が一連の動きについて重要資源の確保に加え、雇用の創出、気候変動対策推進という点でも大きな期待を寄せていることを報じた。(編集・翻訳/川尻)

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