2025年10月21日、中国メディアの証券時報は、これまで高騰を続けていた金の価格が下落したことについて専門家の意見を報じた。

記事は、21日午後に国際金価格が突如として急落し、現物金、金先物ともに一時2%超の下落を記録し、銀、プラチナ、パラジウムを含む他の貴金属市場も連鎖的に下落。

17日に米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げを行うとの予測が流れ金価格が1オンス=4300ドル台の過去最高値を記録した直後の下落になったとした。

そして、今回の急落は、FRBの追加利下げ期待と高まる地政学的リスクによる強いリスク回避需要が金価格を押し上げ、過去最高値を更新したことの反動によるものであり、投資家による利益確定売りの集中が主要因と見られていると説明。KCMトレードのチーフ市場アナリスト、ティム・ウォーター氏が同様の見方を示すとともに「FRBが現在の利下げ経路を維持する限り、いかなる金価格の調整も買いの機会と見なされる」と指摘したことを伝えている。

記事はその上で、今後の金価格の見通しについて業界や専門家の間で意見が別れていることを紹介。東呉証券や申万期貨といった中国の証券会社は、金価格が一時的に「超買われすぎ」の状態にあり、地方銀行の決算が予想を上回るなどの好材料でリスク回避ムードが後退することで一時的な価格調整による下落が発生するものの、中国など非西側諸国・新興国で「脱ドル化」のために金を購入する流れは変わらないため、長期的な金価格上昇が続くとの見方を示したと伝えた。

一方で、ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツのハドソン・アッター氏が「金市場の将来的な動向は不透明であり、さらなる上昇よりも下落の可能性が高い」と見ており、西側の富裕層個人投資家による金の大幅な買い増しが持続できるかに疑問を抱いているとした上で、日本の新政権や米国政府の「機能停止」、英国の年度予算案発表などの懸念材料が徐々に払拭(ふっしょく)され、市場の不確実性が低下すれば金への投資需要は減退し、現在の1オンス=4000ドル前後の水準を維持するのは困難になるだろうと指摘していることを報じた。(編集・翻訳/川尻)

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