中国自動車メーカーの比亜迪(BYD)は10月9日、ブラジル・カマサリ工場で1400万台目となる新エネルギー車「宋Pro」をラインオフしました。これは同社のグローバル展開を象徴する出来事であり、中国自動車産業が「製品輸出」から「価値創造」へと進化していることを示しています。
BYDは技術革新と環境志向を軸に、現地生産や社会貢献を組み合わせた「国際化と現地化の融合」戦略を推進しています。
ブラジル市場では、BYDの販売が急拡大しています。2022年にわずか260台だった販売台数は、2023年に1万7000台、2024年に7万6000台へと増加し、2025年5月には単月で9000台を突破しました。市場シェアは9.7%に達し、全自動車ブランドの中で4位となりました。急成長を支えたのは、現地の需要に合わせた製品ラインアップです。「シーガル」や「宋Pro」が人気を集め、プラグインハイブリッドのピックアップトラック「シャーク」は437馬力を誇る高性能モデルとして市場の空白を埋めました。
また、同社は充電ネットワーク「BYD リチャージ」を展開し、現地で充電環境の利便性を大幅に向上させています。
文化や嗜好(しこう)の違いという壁もある中、BYDは7年にわたる市場調査を通じてブラジルの消費者の信頼を獲得しました。「ドルフィン」が年間最優秀車、「宋Pro」が最優秀ハイブリッド賞を受賞するなど、現地評価も高まっています。
同社は技術力という「ハードパワー」と、戦略的な運営と成熟したコミュニケーション能力という「ソフトパワー」を両輪に成長を続けています。再生可能エネルギー100%で稼働するブラジル工場は国際的な環境認証を取得し、持続可能な製造モデルを実現しました。
BYDは2025年末までにブラジルで240拠点の販売網を整備する計画で、充電インフラ整備も政府と連携して進めます。











