2025年10月23日、中国メディアの第一財経は、中国の無人配送車がアジアや中東などの海外市場進出を加速させていると報じた。

記事は、中国の自動運転業界において、無人配送車市場の急成長と国際市場への積極的な進出が顕著になっており、その象徴的な動きとして大手メーカーによる相次ぐ巨額の資金調達を挙げた。

まず、無人車メーカーの新石器(Neolix)が23日にシリーズDラウンドで6億ドル(約900億円)を超える大型資金調達の完了を発表したことに言及。アラブ首長国連邦(UAE)のファンドなど複数の投資家による融資で、同社は演算能力の強化、生産能力拡大、さらに海外市場の拡大という三つの柱に投入する方針を示していると紹介した。

そして、同社が具体的かつ野心的な海外展開計画を進めており、10月に地元企業との提携を通じてUAEで無人配送車(RoboVan)の営業許可証を取得し、年末までに同国内に5000台を配備する予定であること、アジアでも7月に韓国の仁川市と協定を結び、韓国市場への参入を推進していることを伝えた。

また、九識智能(ZELOS)も海外展開に積極的で、シンガポール、マレーシア、日本、韓国、UAEなど10カ国・地域以上で製品を稼働させていると指摘。中東ではドバイの道路交通局と提携を結び、UAEの国営郵便と合弁会社を設立するなど具体的な実績を積み重ねているとしたほか、日本や韓国といったアジア市場でもシーン検証段階に入っているとした。

同社は資金調達でも今月21日にアリババ傘下のファンドなどが主導する1億ドルのシリーズBラウンド融資を受けるなど積極的な動きを見せているという。

記事はその上で、新石器や九識智能による巨額の資金調達と国際展開の加速は、中国の無人車業界が単なる技術開発段階から、実用化と収益化を伴う成長段階へと移行したことを示していると解説。積極的な融資が行われる背景には、無人車が加速的に規模を拡大する中で経済効果を確実に生み出していることがあるとした。

そして、中国国内の事例として、広東省深圳市では9月だけで無人車による宅配・生鮮食品配送件数が100万件を突破し、前月比14.5%増となる約870万元(約1億8000万円)の商業的価値を生み出したことを伝えている。(編集・翻訳/川尻)

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