循環水システムの水槽で魚が泳ぎ、多層栽培ラックでレタスが青々と育つ——これはSFのワンシーンではなく、第32回中国楊凌農業ハイテク成果博覧会で実際に展示された光景だ。計画面積約48ヘクタールにおよぶ楊凌スマート農業モデルパークでは、水や土壌の制約を打ち破る一連の農業新技術が乾燥・半乾燥地域の農業発展に新たな道を切り拓きつつある。

中国新聞網が伝えた。

スマート水産養殖センターでは、従来の養魚池が集約型のRAS(再循環式養殖システム)に置き換えられた。物理的濾過や生物的浄化など複数の工程を連携させることで、内陸の乾燥地域でも「工場型」養魚という新たなモデルを実現している。

スタッフは、「このシステムは、養魚業が天然水域に依存してきた構造を根本から変え、水資源の乏しい地域に安定した水産タンパク供給のソリューションを提供している。この環境で育てられた、寄生虫も抗生物質もないレッドティラピアの成魚は博覧会期間中にすでに市場に出荷された。この技術により水のない土地で魚を育てることが現実となり、乾燥地域農業に新しい産業形態が加わった」と説明した。

全自動植物工場では、また別の光景が広がる。外では灼熱の太陽が照りつけようと、風雨が吹き荒れようと、室内環境は常に植物の生育に最適な状態に保たれている。みずみずしい水耕栽培のバターレタスは10層の立体ラックで規則正しく成長し、専用の光照射レシピの下で、わずか28日間で種子から食卓までのサイクルを完了する。

工場で魚を育て野菜を栽培、楊凌地区のスマート農業が示す「新しい豊穣」―中国

パークスタッフの董雨璐(ドン・ユールー)氏は、「私たちは播種から収穫までの完全無人・閉ループ管理を実現した。栽培ラックは最大24層まで拡張でき、食品グレードのPP素材を採用しており、製品の安全性と清潔さを確保している」と語る。ここでは作物の成長が季節や天候の影響を受けず、安定した室内環境で連続的に生産され、真の意味で天候に頼らず技術に頼る農業が実現している。

このモデルパークは西北農林科技大学の技術支援によって建設されたもので、5G、モノのインターネット(IoT)、ブロックチェーン、植物成長モデルなどの重要技術を統合し、環境制御から製品トレーサビリティまでの全工程におけるスマートな管理を実現している。パークに展示された12種類の革新的な温室構造や、地熱エネルギー、二酸化炭素回収などのエコ循環システムは、地域特性に応じた施設型農業の多様な発展モデルを提供している。

「混合所有制+専門家チーム」による市場化運営モデルを通じ、同パークが構築した現代農業の「楊凌農業科学」モデルは、「新たな質の生産力」が農業分野における具体的な実践例を示すだけでなく、乾燥地域において再現・普及可能な技術体系を構築し、世界の乾燥地域における農業のトランスフォーメーションと高度化に向けた中国発のソリューションの提供も目指している。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

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