2025年10月27日、中国メディアの観察者網は低迷状態にある英国経済について、英国が「脅威」とみなしている中国が「救世主」となる可能性があると報じた。
記事はまず、英国の政府と情報機関は中国を「明確な脅威」と位置づけ、強い警戒感をあらわにしていると主張。
そして、9月にいわゆる「中国スパイ事件」で起訴された英国人男性2人に対する訴追が取り下げられた際、検察側が求める「中国の脅威」についての証拠を英国政府が提出しなかったことが原因だとし、この出来事が政府内の「脅威」認識にすら齟齬がある可能性を浮き彫りにしたと評した。
その上で、安全保障上の懸念とは裏腹に、英国経済にとって中国が「救世主」とも言うべき存在であることは紛れもない事実だと指摘。中国は英国にとって5位の貿易パートナーであるほか、特に輸入において中国の存在感は圧倒的で、通信機器や機械類を中心に、英国の輸入の7割以上を中国が占めていると伝えた。また、コーネル大学の貿易政策学者、エスワール・プラサド氏が「英国の経済的地位は非常に脆弱だ」と述べ、中国が「潜在的な恩人」との認識を示したと紹介した。
記事はこの「脅威」と「救世主」の板挟みの中で、与党・労働党のスターマー政権は苦しい姿勢を強いられていると紹介。スパイ事件の訴追取り下げを巡って野党から「中国に弱腰だ」との非難を浴びるなど、中国を巡る政治的議論が硬化する一方で、経済関係の維持を望む政府の現実的な選択は往々にして「軟弱」と批判される状況にあるとした。
そして、英国はこのジレンマに立ち向かう方法として「冷戦思考とイデオロギー対立から脱却し、より現実的で合理的な対中政策を構築すること」だと主張。歴代首相が掲げてきた対中関係強化の試みはいずれも政治的な駆け引きによって頓挫してきたとした上で、「英国が真に守るべきは国益、すなわち不安定な経済状態から脱却するための確かな成長の道筋だ」と指摘し、中国を単純な敵または味方としてではなく、複雑に絡み合った国際社会における重要なアクターとして捉え直し、対話と協調を積み重ねていくべきだと論じた。(編集・翻訳/川尻)











