中国の自動車輸出が新たな局面を迎えています。業界団体の中国汽車流通協会乗用車市場信息聯席分会(乗聯分会)によると、2025年1~9月の自動車輸出台数は前年同期比21%増の571万台に達し、このうち9月単月では76万3000台と前年同月比26%増を記録しました。

特に新エネルギー車(NEV)の輸出は232万台、前年同期比52%増と高い伸びを見せ、9月単月も30万台(前年同月比66%増)と勢いが続いています。

乗聯分会の崔東樹事務局長は、「輸出拡大の主因は中国車の競争力向上にある」と分析します。注目すべきは輸出先の変化です。これまで中国車輸出をけん引してきたロシア市場が縮小する一方、メキシコやアラブ首長国連邦(UAE)などの新興市場が急成長しています。2025年1~9月は、メキシコが41万台余りで首位となり、UAE(約37万台)、ロシア(約36万台)が続きました。ロシア向けは前年同期から約49万台減少し、58%の大幅減となっています。

一方、UAEは前年同期比59%増、オーストラリアは68%増、フィリピンは60%増と高成長を示しました。欧州市場ではベルギーと英国がNEVの主要輸入国で、1~9月にそれぞれ約22万台、約15万台を輸入しています。中東や東南アジアでも販売が拡大しており、世界的な多極化が進んでいます。

車種別では、純電動車に加え、プラグインハイブリッド車(PHEV)の伸びが顕著です。2025年1~9月のPHEV輸出は69万台で前年同期比208%増を記録しました。特に欧州やオーストラリア、トルコなどで需要が拡大しています。

ただし、輸出価格はやや下落傾向にあります。2025年の平均輸出単価は1台当たり1万7000ドル(約260万円)で、2023年の1万9000ドル(約290万円)、2024年の1万8000ドル(約270万円)を下回りました。テスラ車の比率低下や中低価格帯モデルの拡大が背景にあるとみられます。

奇瑞汽車の尹同躍董事長は「グローバル展開では量や速度よりも持続性が重要だ。信頼性と安全性を備えたブランド価値の確立が不可欠」と強調しており、崔氏も「国際環境が安定すれば、中国自動車の輸出は今後も大きな成長余地がある」とみています。(提供/CRI)

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