旧ソ連構成国だったジョージアの当局は約2キロのウランを違法に購入しようとした疑いで、中国人3人を逮捕した、とこのほど発表した。米誌ニューズウィーク(NW)が伝えた。
NWによると、同国国家保安庁のラシャ・マグラゼ副長官は「3人の中国人は放射性物質を40万ドル(現レートで約6000万円)で購入、ロシア経由で中国へ持ち込む計画を立てていた」と説明。「違法取引の詳細について交渉が進められていた最中だったが、入手した作戦情報に基づき対応し、関係者を特定して逮捕した」という。
マグラゼ副長官によると、中国で活動する「犯罪組織」関係者がウランの購入に関心を持つ人々をジョージアに送り込んだ。そのうちの1人は「国内で積極的に核物質を探していた」とされる。
3人の中国人は全員、首都トビリシで拘束された。トビリシおよび西部の都市バトゥーミの一時滞在先も捜索を受けた。3人のうちの1人は不法滞在者だった。
ジョージアでは核物質の闇取引がたびたび発覚している。当局は今年7月にも300万ドル相当のウラン販売を計画していたとして、外国人1人とジョージア人1人を拘束したと発表している。当局は「そのウランが爆発物の製造やテロ攻撃に利用される可能性があった」と述べていた。
2023年5月には西部の都市ポティで200万ドル相当の放射性物質を売却しようとする計画が明らかになったと、国家保安庁が発表している。
19年3月にはウラン238(最も一般的なウランの同位体)を280万ドルで売却しようとしたとして、ジョージア人2人が逮捕されているほか、16年にもウラン238およびウラン235(濃縮によって原子炉や核兵器で使用可能になる)を300万ドルで売却しようとしたとして、ジョージア人5人が逮捕されている。
ジョージアの法律では核物質や放射性物質の購入、輸送、販売は最長5年の懲役刑が、核物質を不法に入手、所持した場合は最長10年の刑が科される。現地メディアによると、今回の中国人3人も最長10年の懲役刑に処される可能性があるという。
核専門家のロバート・ケリー氏は「核物質の密輸は憂慮すべき問題だ。違法であることに加え、複数の国で規制や会計、国境管理体制に欠陥があることを示しているからだ」と語った。
NWは「今回逮捕された中国人たちの目的は何だったのか。今後の捜査の進展が待たれる」と報じた。(編集/日向)
 
                         
                             
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                 
                                 
                                 
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                    










