韓国・ソウル近郊の大型ショッピングモールでは、中国企業「石頭科技(ロボロック)」の掃除ロボット専用コーナーに多くの人だかりができていた。機械アームを搭載したロボットが地面をゆっくりと動きながら、落ちている靴下を正確につかみ取り、回転して隣のごみ箱に投げ入れる瞬間、見物していた人々から歓声が上がった。
近年、韓国では高齢化が進み、人件費が上昇していることから、中国発のサービスロボットがレストランやホテル、スーパーなどで広く導入されるようになった。米IDCの調査によると、韓国の掃除ロボット市場で石頭科技は50%超のシェアで1位を維持しており、特に高級モデルの分野では7割以上のシェアを占めている。
石頭科技アジア太平洋地域の販売責任者・李平氏は韓国市場で安定的に1位を維持している理由について、「最も重要なのは製品力だ。市場ごとの需要に合わせて製品を設計している。韓国の消費者は衛生と利便性を非常に重視しており、当社の高級モデルは音波振動モップシステムを採用し、清掃能力と効率を大幅に高めている」と語る。
韓国の消費者、閔普炫(ミン・プヒョン)さんは「自宅にロボロックの掃除ロボットを2台購入した。大半の韓国人は家電製品を選ぶ際、通常は韓国ブランドを好むが、中国製品は性能と使いやすさに優れており、掃除ロボット分野では第一の選択肢になっている」と話す。
ホテル業界でも中国のロボットが活躍している。上海擎朗智能科技の配送ロボットは客室備品や出前、物品の無人配送を自動で行うことができ、清掃ロボットは床掃除、掃除機かけ、床磨き、ちり払いといったフル機能を備え、環境に応じて柔軟に作業モードを切り替えることで人件費を削減し、業務効率を最適化している。
ソウルの寿司チェーン店のマネージャーは、「以前は忙しすぎて店が回らなかったが、今は配送ロボットのおかげで仕事の効率が上がり、客の満足度も高まった」と話す。
杭州雲深処科技の日本・韓国市場責任者、李昌波さんは「韓国では点検ロボットへの関心が高い。
李さんは「当社の製品は豊富な産業応用経験を持ち、独自に開発した運動制御と環境認識アルゴリズムを搭載している。価格競争力も韓国企業が当社と提携する重要な理由で、ロボットンの導入は企業コストの削減に寄与する」との見方を示す。
過去10年間、韓国のロボット産業は教育、介護、産業製造などの分野でアジアをリードしてきた。しかし近年、中国の製造業がスマート化・自動化へと高度化する中で、中国企業は「技術の学習者」から「イノベーションのけん引者」へと変貌を遂げつつある。
韓国中国経済金融研究所の全炳瑞(チョン・ビョンソ)所長は、「中国企業は高いコストパフォーマンスを生かして韓国市場を積極的に開拓しており、こうした外部競争の圧力が韓国のロボット産業の高度化を促す触媒にもなっている」と分析する。
さらに全氏は「中国と韓国はデジタル経済、グリーントランスフォーメーション、AI(人工知能)などの新興産業分野で協力する大きな可能性を秘めている。中国は膨大なデータ資源と応用シーンを持ち、韓国は先端半導体と高性能演算能力を備えている。両国のAI分野における相乗効果が期待できる」と語る。
清掃ロボットからエンボディドAIロボット、家庭用から産業用まで、中国のロボットは韓国市場への進出を加速させている。それは中国製造の革新的な実力を示すだけでなく、中韓両国の産業協力の新たな構図も映し出している。
 
                         
                             
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                         
                                 
                                 
                                 
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                    










