中国科学院南京地質古生物研究所の発表によると、同研究所の初期生命研究チームがこのほど、中国中部の湖北省宜昌市の「石板灘生物群」で、これまで発見された中で最古の複雑な三次元的な潜穴系を発見しました。

潜穴とは古生物が海底や地中に掘った穴の痕跡で、約5億5000万年前の地層に保存されていたこれらの生痕化石の発見は、複雑な動物行動による海底環境への影響が従来の認識より約1000万年早かったことを示すなど、古生物学研究での重要な進展とみられます。

また、エディアカラ紀からカンブリア紀への移行期における生態系の大規模な転換を理解する上で、重要な行動学的証拠を提供するものでもあります。関連する研究成果はこのほど国際学術誌の「サイエンス・アドバンシズ」に掲載されました。

約5億3900万年前のエディアカラ紀からカンブリア紀への転換期には、地球史上で大規模な生態系の変革が発生しました。同時期には後生動物(多細胞の真核生物、「動物」とほぼ同義)が海底表面での二次元的な活動から、堆積物深部への三次元的な探査へと行動を変化させ、生態系の変革を推動する重要な要因になりました。この「底質構造の改造」プロセスにより、それまで微生物マットが支配的で単一な構造だった海洋底質は、生物によるかく乱を受けて層が分化した現代型の海底へと変わり、地球環境と生物進化の軌跡を永久的に変化させたということです。(提供/CRI)

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