2025年11月1日、香港メディア・香港01は、中国国産ドラマを始めとする「中国風」の海外進出が成功した背景について考察する記事を掲載した。

記事は、ギョウザ作り、太極拳、中国語学習という従来の「中国文化三本柱」に続き、ネット社会化した昨今ではネット小説、ネットゲーム、ネットドラマという「中国文化新三本柱」が出現したと紹介。

「旧三本柱」よりも若い世代との親和性が高いことから海外における中国文化に対する注目度向上に大きくつながっているとした。

そして「新三本柱」の中でも特に高い影響力を誇るネットドラマについて触れ「高品質化が進んだ国産ネットドラマは、次々と海外進出を果たし、国内外で同時配信されるケースが増えている」と指摘。サスペンスドラマの「新生」や歴史ファンタジードラマ「慶余年」がNetflixなどの動画配信サービスでランキング上位に入ったと紹介したほか、中国企業が海外向けに立ち上げたショートドラマ視聴アプリ「ReelShort」も米国で1000万回ダウンロードを記録したことに触れ、国産ネットドラマが、質、更新速度、テーマの種類において、日米韓など世界レベルのドラマやアニメコンテンツに匹敵するレベルに達したと評している。

「中国風」の海外進出成功、ネットドラマブームの事例から探る―香港メディア

また、国産ネットドラマが海外で爆発的な人気を獲得した要因として「市場のルールとビジネスロジックに従うという発想への転換」を挙げた。中国文化の海外発信という国家戦略の下、民間企業が積極的に海外進出を図ったことによりイデオロギー色を和らげることに成功したほか、特にショートドラマではコンテンツをそのまま輸出するのではなく、基準や理念を輸出し、俳優、ロケ地、脚本を現地で調達して制作するローカライゼーションを徹底したことも奏功したとの見方を示した。

記事は、現状で中国国産ドラマの輸出はアジア地域が中心であるものの、その他の市場への進出も着実に拡大していると紹介。長編ドラマとショートドラマプラットフォームが互いに補い合いながらネット制作・配信のエコシステムを形作ったことで、国産ネットドラマは海外の視聴者の日常生活に溶け込むことに成功したとした。

そして、海外の視聴者は単に中国の優秀な作品に触れるだけでなく、知らず知らずのうちに作品に込められた精神や文化、そしてその背後にある洗練された制作技術や革新性を感じ取り、それが「中国風」文化ブームを力強く後押ししているのだと論じた。(編集・翻訳/川尻)

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