陝西省の一部地域では、農業被害をもたらす野生のイノシシの対策用にドローンが導入された。ドローンはイノシシを探知し、投下式の矢によってイノシシを自動で殺処理する。また大型ドローンを使ってイノシシの死体を搬送する。中国メディアの極目新聞が伝えた。
陝西省宝鶏市林業局は5月の時点で、同市渭浜区を対象に、野生のイノシシの対策用にドローンを導入すると発表した。背景には、生態環境の改善によりイノシシが増えて、農業被害が増加し、人身に危害が及ぶ恐れが高まっていることがあった。渭浜区内に住む楊さんによると、近年になりイノシシが急増して、農作物を頻繁に荒らすようになった。また、山中でイノシシの群れを見ることが多くなった。これまで見た中で最大のイノシシは狩猟された個体で、体重は200キログラム程度あったという。
地元当局関係者は極目新聞による10月末の取材に対して、専門の会社と連携してドローンによるイノシシ駆除と搬送を実施していると説明した。実施にあたっては、関連部門に審査を受け許可を得たという。
宝鶏市林業局の説明によると、従来型の「イノシシを地上で囲い込む」方法では、効率が悪くて危険も伴った。そこで同市渭浜区林業局は最新技術を持つ企業と提携して、ドローンによる落下式矢発射駆除システムを開発した。高精度の位置測定能力とナビゲーションシステムを統合し、ドローンは衛星測位と慣性航法の融合技術を用いて、自らの位置と飛行方向をリアルタイムで精密に測定する。熱感知や赤外線など複数のセンサーでイノシシの痕跡を捉えると、飛行制御システムが目標の位置などに基づいて、矢の最適な投下タイミングを迅速に計算する。投下の際の高度は40メートルで、矢は落下によって得られたエネルギーでイノシシを仕留める。
イノシシを狩るチームには、小型ドローンを使ってイノシシを仕留める者もいれば、大型ドローンを使って仕留められたイノシシを搬送する者もいる。一晩で10-20頭のイノシシを駆除できるという。
中国では2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、野生動物を食用にすることが禁止された。渭浜林業局の関係者は、殺処理したイノシシは一括して無害化処理を行い、市場に流通する可能性を完全に排除していると説明した。同区の試行計画によれば、25年にはイノシシ200頭の調整を予定しており、1頭ごとの作業に対して、財政が基準に基づいて補助を行い、作業の規範的な推進を確保するという。(翻訳・編集/如月隼人)
— 中国動画 (@RC00547555) November 9, 2025











