2025年11月8日、中国メディアの環球時報は、オーストラリアのニュースサイトが「中国を悪役にすることに執着している」と自国メディアを批判したことを報じた。

記事が紹介したのはオーストラリアのニュースサイト、「パールズ・アンド・イリテーションズ」の7日付文章。

記事によると、文章はオーストラリアのメディアが環境問題から自動車産業まで多様なニュースを報道する際、常に「中国を悪役とする」ストーリーに仕立てていると指摘し、そのような報道姿勢は「低俗な地政学だ」と批判を展開した。

文章は、環境保護活動の観点に立った南極オキアミ漁乱獲問題において、漁の主要国はノルウェーで、韓国、チリ、ウクライナなども参入する状況にもかかわらず、オーストラリアメディアは報道の冒頭に「中国らによる海洋略奪を阻止する」などと、中国だけを特段に非難し、かつ軍事的な問題を想起させるような文言を挿入しているとした。

また、中国のBYDを含む各国の自動車メーカーが、オーストラリア市場で競争を展開する報道でも、BYDの市場戦略を「中国の巨頭がオーストラリアを攻撃する計画」と表現し、韓国・現代自動車がコスト削減を目的として中国から電気自動車(EV)を調達するとの報道でも「人気ブランドが中国に投降した」と、衝突を際立たせるような偏った見出しをつけて報じたと指摘している。

その上で、オーストラリアメディアの偏った修辞について「中国を永遠の悪役とする、決められた脚本が存在する」とし、記事の本文自体は比較的バランスが取れていても、編集段階で付けられる見出しや導入文によって、記事全体のトーンが敵対的に変えられてしまうと分析。中国が主役でない話題でも、少しでも中国が絡めばそれを「武器」として用い、地政学的な脅威の物語に組み込んでしまうとも伝え、「編集部のしっぽが報道という犬を振り回している」状態だと形容した。

文章は、このような報道が公共サービスとしてのジャーナリズムではない「低俗な地政学」だと断じ、事実に基づいた報道へと回帰しなければ、現実の国際関係や社会の認識までもがゆがめられかねないと警告している。(編集・翻訳/川尻)

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