中国・江西省で風力発電機のブレードが砕ける事故があり、近隣住民から環境被害への懸念の声が上がっている。中国メディアの大風新聞が10日に報じた。

記事によると、事故があったのは同省北部の鄱陽湖サービスエリア(SA)付近にある大型の風力発電機。現場で撮影された映像には、回転するタービンのブレード1枚がばらばらと砕け落ちる様子が映っている。その後、別のブレード1枚も断裂したという。ブレードの長さは数十メートルあるとみられる。当時は強風が吹いていたというが、発電機を管理する江西中電投新能源発電有限公司の職員は「具体的な原因は調査中」としている。

風力発電機のブレードにはガラス繊維強化樹脂が使われていることが多く、飛散して人が吸い込んだ場合、健康に甚大な被害を与えるのではないかとの懸念の声も出ている。同職員は「それは次の段階で考えるべき問題。今は現場の処理を優先している」「もしガラス繊維の吸入によって被害が生じた場合は医療機関を受診し、関連の証拠を保管しておくことをお勧めする」と話した。

中国のネットユーザーからは「ブレードが断裂すると確かに繊維が飛散するリスクがあり、これを肺に吸い込むと身体に害を及ぼす可能性がある」「風力発電を普及させるのは良いことだが、安全が伴っていなければならない。ブレードが2枚も破損するなんて管理が十分でない証拠」「風力発電の関連企業でインターンをした時にブレードの製造工程を見たことがあるが、ガラス繊維の製造の際に気泡があると時間がたつにつれて割れやすくなる。今回の事故では、製造時点ですでに品質上の問題があった可能性もあるのでは?」といった声が上がった。

また、「クリーンエネルギー設備は管理・保守が重要。風力発電機は年間を通して風雨や日差しにさらされ、部品は劣化しやすい。定期的に点検し、交換すべき部品は迷わず交換しなければ大事故が起こりかねない」「風力発電機の建設は始まりにすぎず、点検、管理、廃棄後のリサイクルまで見ていく必要がある。ブレードは分解が難しく、どう処分するかが問題。すべてのサイクルをきちんとこなすことこそ、持続可能なエネルギーであることの前提条件」といった指摘も寄せられている。(翻訳・編集/北田)

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