中国東部・江蘇省揚州市江都区の艾菱村では、村内のトイレ改装が完了した。村長は安堵の笑みを満面に浮かべ、「昔は夏にトイレへ行くと鼻を押さえなければならず、蚊やハエが飛び回っていた。

冬は冷たい風が吹き込み、とても寒かった。今のトイレは清潔で使いやすく、都市部とほとんど変わりない」と語った。このような素朴な笑顔こそ、中国で進められている「トイレ革命」を象徴していると言えよう。11月19日の「世界トイレの日」を迎えるにあたり、トイレの衛生の重要性を訴え、安全で清潔なトイレ施設を利用できない人々への認識向上を目的として国連が定めたこの記念日を機に、中国のトイレ革命の歩みを振り返る。

かつて日本から中国を訪れた友人は、清潔なトイレが見つからず、困ることがあった。中国人自身も長くトイレの不便さに悩まされてきた。上海市桑園街48弄に70年以上暮らす紀昌平さんは、「昔は夜明け前に痰壺を持って捨てに行かなければならず、雨の日はなおのこと苦労した」と話す。紀さんの住む地域は、上海の古い市街地の典型で、340世帯余りが長年、「トイレ不足」や「共用キッチン」といった生活上の不自由を抱えていた。今年に入り、旧市街地の再開発プロジェクトが進んだことで、住民たちの生活は転機を迎えた。今年9月末までに上海市全体で「おまる持ち運び」と呼ばれた古い生活様式を変えるための改修工事がほぼ完了し、この国際都市はついにその時代に終止符を打った。「おまるの持ち運び」から「独立した衛生設備」へ、狭苦しい公共スペースから快適なプライベート住宅へ。この再開発は都市空間の更新にとどらまず、住民の生活の質を総合的に高める取り組みとなっている。

一方、中国の広大な農村部でも同様に大きな変革が進んでいる。先述した揚州市江都区は、衛生的なトイレの整備を重要な民生事業として位置づけ、2022年以降、3万6844戸でトイレの新設・改修を行い、数多くの農家で快適な新しいトイレを利用できるようになった。さらに、汚物処理という重要な課題に対応するため、同区では下水道網への接続による統一処理、循環処理など、複数の方式を試行し、汚物の資源化を実用化させている。こうした取り組みは、環境改善とグリーン農業の推進を両立させるものであり、きめ細やかな維持管理は、住民の生活レベルの向上を重視する行政の姿勢や責任感をうかがわせる。

世界に目を向ければ、トイレ問題は依然として深刻である。国連のデータによると、世界人口の約半数が安全で衛生的なトイレを利用できておらず、この現実は中国のトイレ革命が国際的な意義を持つことを浮き彫りにしている。トイレは単に生活の利便性だけでなく、人間の尊厳と安全に直結するからである。

中国が推進する「トイレ革命」は、農村ガバナンスの課題を解決する取り組みでもある。新中国成立初期には簡素なトイレが多く、汚物が露出し、蚊やハエが繁殖しやすい環境にあった。現在では、こうした状況が大きく改善され、農村部の衛生トイレ普及率は73%を超えるまでになった。これは国が生活の細部にまで目を配り、人々の健康と環境を守る取り組みを重視してきた結果である。

上海市では「おまるの持ち運び」の光景が消え、揚州市江都区の農家では衛生トイレが普及しつつある。

こうした各地の変化は、着実に人々の福祉向上へとつながっている。「小さなトイレ」は「大きな民生」に結びつき、地域のさらなる発展にもつながっていく。トイレ革命が示すように、真の進歩とは、一人ひとりの最も基本的な尊厳を守ることから始まるのである。(提供/CRI)

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