2025年11月17日、中国メディアの新京報は、中国河北省の村で地下水に金が混ざり、住民が金の回収に熱を上げる一方で法的な問題や環境面での懸念を引き起こしていると報じた。
記事は、近ごろの金価格の歴史的な高騰を背景に、河北省秦皇島市にある清河沿村では住民が地下水から金を抽出する作業に熱を上げていると紹介。
そして、この地域の地下水に金が含まれる原因について、かつて村の近くに金鉱山があったことを指摘。中国地質科学院の研究員によると、金鉱山が過去に用いていた「堆浸法」という採掘手法で使用するシアン化物を含む廃液が地下に浸透し、地下水と混ざり合ったことで、現在に至るまで地下水中に金が溶け込んでいると説明した。
記事によると、18年には廃止された鉱山の坑道内に溜まった水から金を違法に抽出する事件が摘発されたとのことで、これ以降、住民は自宅に深井戸を掘って金を抽出する手法へと移行したという。
地下水に含まれる金の抽出作業は大きな経済的利益を生み出しており、小規模な世帯で年間数十万元(1元=約22円)、大口の世帯では年間100万元の収入を得ているが、採掘活動は深刻な問題も引き起こしている。多くの井戸が1時間に数十トンという巨大な水量を24時間体制でくみ上げているため、周辺住民の生活用水用の浅井戸が枯渇し、50戸以上が断水する事態が発生したほか、地下水くみ上げに必要な電力が膨大であり、村の変電所に大きな負荷をかけているという。
さらに、環境への二次汚染も懸念されており、専門家は「活性炭で全てを吸着しきれなかった重金属を含む廃水が、そのまま河川や地下に排出されることで、広範囲の汚染を引き起こしている」と警鐘を鳴らしている。
記事は、井戸水のくみ上げは無許可での大量取水という法律に違反する行為でもあり、地元当局が罰金や停止を求める告知書を発出しているものの、経済的な誘惑が余りに大きいこともあり、住民が違法なくみ上げをやめようとせず、ポンプの大型化や新たな井戸を掘るといった状況が続いていると報じている。(編集・翻訳/川尻)











