2025年11月17日、広東省の深セン衛星テレビは、米自動車大手テスラが部品サプライヤーに「脱中国化」を求めたとの情報に対するコメンテーターの意見を紹介した。
記事は、テスラが部品サプライヤーに「脱中国化」を求め、1~2年で中国製の部品を全面的に置き換える動きを見せているとの情報について、特約コメンテーター・陳氷(チェン・ビン)氏のコメントを伝えている。
陳氏はまず、テスラの動きについて米中貿易戦争が今後さらにエスカレートする可能性があり、米国政府がさらに厳しい貿易政策を打ち出した場合に備えての動きだと分析。ゼネラルモーターズ(GM)も27年末までに中国製部品を排除するよう指示を出したと伝え、米国メーカーが「27年までの脱中国化」を念頭において行動しているとの見方を示した。
また、「脱中国化」の動き自体が、理性的というよりも一種のトレンドとして広まっていると指摘したほか、各メーカーが米中貿易戦争の1年間の休戦をサプライチェーン調整のための「猶予期間」だと捉えているとも論じた。
「脱中国化」した米自動車メーカーが1~2年でサプライチェーンを再構築できるかについて陳氏は「不可能に近い」と指摘しつつ、米国の関税政策に伴う中国部品への高い輸入関税によって米国車のコストは30~50%も高騰している現状を考えれば、部品の供給源を中国以外にシフトせざるを得なくなっていると解説。中国市場で競争力を落としていることもサプライチェーン見直しの動機になっているとし、再構築が困難であったとしてもトランプ政権の関税政策によるリスクを避けるには「脱中国化」が不可欠な状況であるとの認識を示した。
一方で、中国の部品メーカーも今後1~2年で米国市場を失う覚悟をしておく必要があるとも指摘している。
陳氏は、一連の混乱について主にトランプ大統領が招いたものだとし、1期目で米中貿易関係を不安定にさせ、世界貿易の構造に影響を与えたのに続き、2期目では米中貿易戦争から世界貿易戦争へとエスカレートさせ、第2次世界大戦後に築かれた貿易システムを崩壊させたと分析。欧米企業は米中間の地政学的対立がまだ始まったばかりと認識しており、この認識が中国への依存度を低下させ、生産拠点の投資先を中国からベトナムやインドなどへとシフトさせる流れにつながっているとの見方を示した。
その上で、中国は1~9月の外資利用額が前年同期比10.4%減という現状を鑑み、投資環境のさらなる改善に取り組み、欧米も性急な関税政策や技術輸出規制を見直すといったように、互いの誤解を避け、交流を強化するための歩み寄りの必要性を指摘した。(編集・翻訳/川尻)











