2025年11月17日、シンガポールメディアの聯合早報は米ブルームバーグの報道を基に、中国国内の消費者の興味が外国の高級ブランド品から国内のブランド品に移りつつあり、市場の再形成が起きている現状について分析した。

記事は初めに、LVMHグループの会長兼CEOのベルナール・アルノー氏が9月に上海を訪れた際の意外な出来事として、上海の巨大ショッピングモール「前灘太古里」でグループ旗下の店舗やカルティエなどの競合海外ブランドではなく、中国ブランドの「山下有松(Songmont)」や「老舗黄金」などの店舗を視察し、ハンドバッグを購入したり、金製品について「精巧で興味深い」といった評価をするなどの行動を見せたことに言及し、「490億ドル(約7兆6000億円)の市場規模を持つ中国ラグジュアリー市場の変化の速さを反映している」と指摘した。

米ブルームバーグの分析によると、過去2年間のハンドバッグ、アパレル、コスメ、ジュエリーなどの部門で中国のハイエンドブランドの売上額に外国ブランドを超えるほどの増加が見られるという。ECサイトがキーポイントとなっており、例えば今年第3四半期までの「老舗黄金」の電子取引による売上額は過去2年と比較して1000%、「山下有松」は90%増加した。逆に外国ブランドでは、グッチが中国のオンライン売上額を50%以上、マイケル・コースが約40%減らした。コスメ部門では「毛戈平」、香水ブランドでは「観夏(To Summer)」、アパレルでは「之禾(ICICLE)」など、中国ブランドがそれぞれの分野で好成績を挙げている。

杭州市の調査会社ZHIYI TECH(知衣科技)の統計によると、ECプラットフォームの天猫(Tmall)では、中国ブランドの収入は海外ブランドと同様に高い水準を保っている。今年10月までの1年間で「老舗黄金」の天猫旗艦店の売上額は6億3000万ドル(約976億円)を記録した。仏ブランドのヴァンクリーフ&アーペルが5700万ドル(約88億3400万円)だったのに対し、毛戈平は1億2500万ドル(約193億円)で、ボビイブラウンの2倍以上だったという。

記事は最後に「コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーによると、長年中国ラグジュアリー市場の主導権を握ってきたルイ・ヴィトンやケリンググループ、バーバリーなどの欧州ブランドが、昨年は2011年以来最大となる20%の損失を出している。最近は巻き返しの兆候が見られるものの、グループ幹部は依然として『慎重に』などの単語を口にしているようだ」と述べた。(翻訳・編集/原邦之)

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