2025年11月18日、黄河新聞網は、中国で急速に普及している新エネルギー自動車(NEV)について市民から「安く買えるが修理代が高くて払えない」という声が出ていることを報じた。

記事はまず、NEVを購入した市民数人の事例を紹介。

「ガソリン代の節約」を目的として19年に購入し現在までに16万キロを走行したという重慶市の魏(ウェイ)さんは、保証期間経過後は公式ではない修理店に点検修理を依頼しており、公式の修理店で1000元(約2万2000円)以上かかると言われたスイングアームの故障が、外部の店ではゴムブッシュの交換だけで済み、費用もわずか200元(約4400円)以内だったことを明かした。

3年前にやはり「ガソリン代の節約」を理由に中外合資のNEVを26万元(約570万円)で購入した北京市の張(ジャン)さんは、NEVの保険が初年度1万1000元(約24万円)と高額だったことに衝撃を覚えたと吐露。少しでも維持費を減らすために魏さん同様外部の修理店に日常的なメンテナンスを依頼していると紹介した。

記事はその上で、特に公式の修理店に修理を依頼した時に高額となる理由について解説。NEVの修理では、損傷した特定の部品のみを修理・交換するのではなく、関連するモジュールやシステム全体を交換するよう推奨するケースが目立つとしたほか、特に高集積化された部品(レーザーレーダー、スマートセンサーなど)は、軽微な接触でもシステム全体の交換が求められると伝えた。

また、NEVの部品はメーカー純正品への依存度が高く、第三者市場が未発達であることも指摘。しかもメーカーは部品販売に50%以上の高い利益率を設定しているため、部品価格が高止まりしていると評した。さらに、公式店では工賃も高く設定されており、塗装修理では外部と比べて2倍程度の工賃を請求すると指摘した。

記事は、メーカーが高い部品代や工賃を設定する背景として、NEV業界はまだ全体として安定した黒字化に至っていないメーカーが多く、初期の赤字を補填(ほてん)するため、アフターサービスの部品販売の独占を主要な収益源として利用していること、価格競争によってメーカーの利益が一層圧迫されていることを挙げた。また、NEVの保有台数が急増する一方で専門的な修理技術者が不足しており、育成が追いついていないという問題点も指摘した。

そして、専門家による問題の解決策の提言として、メーカーが部品の共通化、バッテリー管理システム(BMS)などの最適化によるコスト削減に努めること、業界と政府は政策的介入による修理市場の開放と人材育成プラットフォームの構築を推進すべきであることを伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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