中国IT大手の阿里巴巴(アリババ)は11月17日、人工知能(AI)アシスタント「千問」アプリの公開テスト版を一般に無料開放しました。これまで企業向けが中心だった同社の大規模モデル事業を、消費者市場へ大きく広げる動きとなります。

アリババによると、「千問」は将来の生活インフラにつながるAIプラットフォームを目指しており、対話機能の強化に加えて高い実務処理能力を備えています。今後は地図、フードデリバリー、チケット予約、オフィス業務、学習、ショッピング、ヘルスケアなど幅広いサービスと連携し、生活シーンの入り口となることを想定しています。

「千問」は同社のオープンソース大規模言語モデル「通義千問(Qwen)」を基盤にしており、公開テスト版はすでに主要アプリストアで配信され、ウェブ版とPC版も提供されています。さらに海外市場向けの国際版も近日公開予定で、ChatGPTとの海外ユーザー獲得競争が一段と加速する見通しです。この発表を受け、アリババの米国株は夜間取引で5%上昇しました。

アリババは昨年末、AIサービス「通義」をアリババクラウドから切り離し、スマート情報事業群に移管しました。同社の既存AIアプリ「夸克(Quark)」と連携させることで、消費者向けAI製品の体制を強化しています。また、世界的AI研究者の許主洪氏を副総裁に招き、マルチモーダル基盤モデルやAIエージェントの研究開発を推進しています。

華西証券はリポートで、アリババのAI戦略が消費者市場に向けた本格展開に移行していると指摘。「千問」のブランド刷新は事業が新たな段階に入ったことを示し、消費者向けAIアプリは2026年の有力成長分野になる可能性が高いと分析しています。(提供/CRI)

編集部おすすめ