11月10日から21日までブラジルで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に初めて参加しなかった米国を横目に、中国が地球温暖化対策を主導する国として脚光を浴びている、とロイター通信が報じた。舞台裏で協議のお膳立てに活躍したのは中国の外交官らだった。
ロイター通信によると、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のフランチェスコ・ラカメラ事務局長は「水は隙間へと流れるが、外交も往々にして同じだ」と語った。同氏は「再生可能エネルギーと電気自動車(EV)分野における中国の優位性が気候外交における中国の立場を強化している」と解説した。
アマゾンの都市ベレンで開催されたCOP30で、中国のパビリオンは会場の入り口付近で圧倒的な存在感を放っていた。パビリオンでは持続可能な中国産シングルオリジンコーヒー、パンダの玩具やグッズが通行人を引きつけ、中国当局者や世界最大の再生可能エネルギー企業幹部がプレゼンテーションを行った。
世界最大の車載電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)の孟祥峰副社長は「気候変動対策で協力を推進し、共にクリーンで美しい世界を築こう」と主張。中国の李高・生態環境次官は満員の聴衆に対し、中国が再生可能エネルギーの世界最大の生産国であることが「各国、特にグローバルサウス諸国に利益をもたらしている」と述べた。
中国のEVメーカー、比亜迪(BYD)はブラジルの自社工場で製造したバイオ燃料に対応するプラグインハイブリッド車(PHV)を披露した。
COPの交渉に関与した現職または元外交官らによると、中国は会議の舞台裏で巧妙な役割も果たしていた。合意に向けて各国政府をまとめてきた米国の不在を埋める形だ。
ある新興国の上級外交官は「中国は徐々に気候対策体制を支える存在になりつつある」と指摘。「中国はグリーン経済に多大な投資をしており、もし体制が逆行すれば損失を被ることになる」と話した。ブラジルの外交官は「過去の中国は自国にとって重要な問題にしか関与しなかったが、COP30では交渉開始前から合意形成に向けて重要な役割を果たした」と述べた。
米国の気候問題担当副特使を務めたことがあり、パリ協定の主要な設計者でもあるスー・ビニアズ氏は「中国にはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)のような主要新興国から小国に至るまで、発展途上世界の多様な利害関係を集約する能力がある」と言及。「中国は米国と同じく、非常に強硬な姿勢を取る傾向があるが、最終的には現実的になる」と話した。
COPを訪れた米カリフォルニア州のニューサム知事(民主党)は「中国はよく分かっている」と発言。「中国がこの世界でサプライチェーン(供給網)で何を行い、製造業をどう支配し、市場をどう席巻しているか。そのことにわわれが目覚めなければ、米国の競争力は終わりだ」と訴えた(編集/日向)











