中国経済が低迷し、トランプ関税などをめぐり米国との関係が緊迫する中、「米国企業が中国から撤退している」という話題が繰り返し取り上げられてきた。これに対し、米中貿易全国委員会(USCBC)会長のクレイグ・アレン氏は「それは全く事実に反する」と強調した。
中国通信社(CNS)によると、USCBCが設立されたのは1973年。72年にニクソン米大統領(当時)が電撃的に中国を訪問した翌年だった。
非政府・非営利・無党派の組織で、中国で事業を展開する270社以上の米国企業が加盟。アレン氏によると、USCBCは現在、交流メカニズムの強化を積極的に推進し、ビジネス環境の改善や政策の安定化を促す提言を行っている。
上海で11月上旬に開催された中国国際輸入博覧会の期間中、CNSのインタビューに応じたアレン氏はUSCBCの調査データに基づけば「中国市場から完全に撤退した米企業はほとんどない」と述べた。
「私はつい最近、中国で投資を続けている50社以上の米国企業の責任者と会いましたが、誰も撤退を考えてはいません」とアレン氏。これらの企業の多くは中国で研究開発やイノベーションを進め、中国のサプライチェーン(供給網)に深く組み込まれ、中国企業と共に第三国市場を開拓しているという。
アレン氏によれば、USCBCに所属する多くの企業はすでに中国で50年以上事業を続けており、今後もさらに50年、あるいは100年企業として根を張りたいと考えている。
こうした「深耕」は単に「中国にとどまる」という意味ではなく、「未来の革新をここで起こす」という姿勢の表れでもある。現在、米国企業はライフサイエンスや医薬などの分野で中国への投資を拡大。「協力の深化こそが最も確実な選択」という長期的な見通しを持っていることがうかがえる。
今年に入り、米中経済関係は何回かの波を経験したが、両国首脳の合意のもとで経済チーム間の協議が5回行われ、問題解決に向けた共通認識が形成された。アレン氏は「企業界は関係改善への希望を見いだしている。両国が安定的で建設的な協力関係を回復しようとしているのが分かる」と語った。
その一方でアレン氏は「方針が一夜にして変わるわけではなく、政策調整には時間がかかる。安定が持続できると皆が信じるためには、さらに行動と忍耐が必要だ」とも指摘。「中国はここ数年、外資系企業により良い法制度とビジネス環境を整えてきた。さらなる開放と透明性の向上により、外国企業と中国企業が公平な競争条件のもとで活動できるようになっている。これは米中経済関係の安定と発展にも役立つ」との見方を示した。(編集/日向)











