近年、電動車向けの次世代電池として注目される全固体電池ですが、量産化には時間を要するため、中国では半固体電池が現実的な選択肢として注目を集めています。半固体電池は固体電解質に液体電解質を適量組み合わせることで、安全性とイオン伝導率の両立を実現し、既存の生産ラインでも対応可能です。
中国の蜂巣能源や贛鋒鋰業は、すでに半固体電池の量産を開始しており、蜂巣能源は来年に中級、高級車向けの大規模展開も予定しています。ユーザー視点でも、半固体電池搭載車は800~1000キロの航続距離や、10分で400キロ分の充電が可能な急速充電性能を備え、高級電動車市場で競争力を持つと評価されています。
産業化も進展しており、来年は搭載台数が10万台規模に達する見通しです。国内トップクラスの企業は現在、5ギガワット時相当の生産能力を持つ専用ラインを建設済みで、来年は20ギガワット時超への拡張が見込まれています。川上の材料供給も順調で、硫化物や酸化物、ポリマー系電解質の量産が進み、製造設備も量産対応済みです。一方、全固体電池への過剰投資には警鐘も鳴らされており、コストや技術課題を解決した「現実的イノベーション」が重要視されています。
国際的に見ても、中国は半固体電池の産業化で先行しており、日本や韓国の企業は慎重姿勢です。安全性の向上や低空経済向けの特殊用途など、多様な応用も期待され、現状では実用性が高く、技術的にも有望な路線として位置付けられています。今後3~5年、半固体電池は電動車や新興航空分野を中心に、次世代電池の成長をけん引すると見込まれています。(提供/CRI)











